#わたしたちのやっていき

B&Bでのイベントに行ってきた。
『かわいいウルフ』小澤さん、she is 竹中さん、『レトリカ』の松本さんが登壇する、大雑把に言うと「メディアのありかた」的なテーマのイベントだ。大雑把すぎてアレだが、いま言いたいのはこれから書くことであり、かつ電車を降りるまでの間に書きたいからこんな雑な冒頭となっているが、というかこんなこと書いてないでさっさと主題に入れよデコ助野郎。

内容が最高だっただけに、なにゆえ出版関係者が聴きに来てないのか(少しはいたかもしれないけど)、とても残念だった。ZINEや同人誌を自分で作ってるひとはたくさんいたみたいだけど、会社として本を作り営業をかけている版元の人間がもっと来てほしかった。

なぜなら小澤さんのやりかたは、いまの出版業界に欠けているものを浮き彫りにしてくれるというか、真似してほしいことばかりだからだ。特にSNSの使い方。

イベント途中のお便りコーナーでも書いたけど、そして小澤さんも簡単ながら説明してくれたけど、僕が小屋での『かわいいウルフ』読書会イベントで聴いた記憶で付け加えると、小澤さんは『かわウル』刊行前から「ウルフ」や「英文学」関連のツイートをしている人を片っ端からフォローしていたそうだ。そして彼女は「『かわいいウルフ』という同人誌を作ります」的なツイートを定期的に、というか毎日のようにしていて、リフォローしてくれたウルフまたは英文学好きの人はその彼女のツイートによって『かわウル』のことを知ることになり、またそれがフォロワーによってリツイートされることで広がり、しかもその広がりはいわゆるフィルターバブル的な効果も相まってウルフや英文学好きの人間にしっかりと届いたのだろう。
だからこそ刊行前から話題になり、と同時に本屋にも刊行前から営業をかけていたこともあり本屋界隈にも『かわウル』の存在は認知され、同人誌ながら、しかもウルフというニッチなテーマ&1944円(税込)というそれなりの値段のするものであるにもかかわらず500部を1ヶ月で完売できたわけだ。

出版社の刊行情報公開スケジュール的なものが、あまりにも余裕がなさすぎるのが問題で、しかも内容も薄かったりする。
刊行1ヶ月前なのに書影すらない、目次もわからない、タイトルと著者だけ、しかもその情報をホームページにすら載せてない、みたいなことはざらにあり、そんな本が配本されたところでほとんどの読者、どころか書店員ですらその本が配本されるまで知らないわけで、しかも多すぎる刊行点数のせいで店頭にきちんと置かれるのは1ヶ月あればいいほう、というわけで世のほとんどのひとに知られることなく版元の倉庫に戻される本が多数ある。そのせいで取次と運送会社が悲鳴をあげてもいる。

こういう「無駄」が出版業界を疲弊させているわけで、その解決の糸口というか、実際に「ひとりで作ってひとりで営業かけてる」ひとが刊行1ヶ月で500部売った、というのは「たった500」ではなく「500も」だし、そういう草の根的なやりかた「すら」真似できないというのであれば、その版元の先は長くないと思う。

『『百年の孤独』を代わりに読む』の友田さんしかり、ひとり書き手兼ひとり営業的なやりかたでコツコツと部数を伸ばしているひとは、実はたくさんいる。そういうひとたちのやりかたを知る、真似する、そういう意識を出版「社」のひとも持ってほしいと、あらためて思った夜。

最後にもういちど。刊行前の宣伝がいちばん大事。ただでさえ「本屋店頭に置かれる期間が短くなっている」のだから。刊行点数増やすより、刊行前の宣伝・営業に力を入れたほうがいい。

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