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妖怪は面白い

先日『砂の妖精』でサミアドの見た目が妖精というより妖怪っぽいと書きましたが、日本で身近な怪異といえば妖精ではなくて妖怪ですよね。
水木しげる先生のおかげで日本の子供はとりあえず妖怪に一度は親しんでいるんじゃないかと思います。でも『ゲゲゲの鬼太郎』のアニメの絵柄がどんどんソフトというか現代的になってるのはどうなんだろう?
それはさておきまして、同じく水木しげる先生の漫画のなかで『のんのんばあとオレ』という漫画が大好きです。
水木しげる先生の子供の頃のことを書いた漫画なんですが、ほっこりしたり、しげる少年と一緒に妖怪に怯えたり、幼い恋に切なくなったりと、とっても素敵な漫画なんです。

遠い昔…そこに夢の楽園があった―――。 「美和」が売られて行く夜、亡くなった美和のお母さんが美しい火の玉になっておくり出した…。目に見えなくとも何かいる…。著者の原体験を描く感動の少年時代。
Amazon商品ページより

小学生の時、NHKでドラマが放映されていて、それがきっかけで原作漫画も買ってもらいました。
原作とドラマはちょっと違うのですが、このドラマもすごくいいんです。

のんのんばあというのは鳥取の境港の辺りでは、神仏に仕える女性のことを「のんのんさん」と呼ぶそうで、水木家のお手伝いさんだったおばあさんがのんのんさんだったようです。
「しげぇさん、しげぇさん」という優しいのんのんばあの語りかけ、大好きでした。岸辺一徳さんのとぼけたお父さんぶりともたいまさこさんのうるさ方のお母ちゃんもいい味をだしていて大好きなドラマでした。
しげる少年がのんのんばあから妖怪の話を聞いて想像を膨らませるところは、アニメも出てきて、ちょいちょい登場するあずきとぎとあずきはかりがなんともかわいらしくて。
しげると千草のエピソードは落涙必至。一生懸命千草のために十万億土の絵を書くしげるがけなげでけなげで。
あんなに幼いのに、死を前にして、「おばあさんとしげるさんが十万億土のことを話してくれたから平気よ」という千草が、もう……。
歳取ってから読むと、子供達の幼いながらの思いがもう愛おしくってもっと泣いてしまうようになりました。
切ないエピソードもありますが、べとべとさんに怯えてみたり、カッパと喧嘩したりと笑ってしまうようなエピソードもたっぷり。ガキ大将だったしげる少年がちょっとずつ大人になっていくのがちょっと寂しかったりも。
『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』よりも私にとっては思い入れのある作品です。
他にも日本昔ばなしにも妖怪はたくさん登場しますし、大人になってからハマった京極夏彦の百鬼夜行シリーズ、柳田國男と、妖怪ってなぜか心惹かれる存在です。
ちょっと気味が悪いには違いないんですが、なぜか心惹かれる妖怪たち。私が思う妖怪の魅力は、確かに怖くて気味の悪い妖怪も多いんですが、「何がしたいねん!」とツッこみたくなるような妖怪がたくさんいるところでしょうか。
『妖怪百科』なんかを読むとたくさん出てくるんですが、私のお気に入りは妖怪すねこすり。犬のような姿をしていて、雨の日の夜に現れて、夜道を歩く人の足の間をこすりながら通り過ぎるだけの妖怪。どうですか、なんやそれと言いたくなりませんか(笑)。岡山のあたりではさらに人を転ばせるらしく、すねっころがしとも言うようです。
何にもないところで転んだ人がバツが悪くて妖怪のせいにしたとしか思えない妖怪。妖怪ウォッチの精神はそんな昔からあったのか(笑)。
メジャーどころでも垢なめなんかも何が楽しくて風呂の垢なんか舐めてるんだとかちょっとわらえちゃうんですよね。
もちろん洒落にならないタイプの妖怪もいるわけですが、幽霊だとか怨霊だとか祟る神様なんかに比べると若干間抜け感が漂うのがなんともいえず楽しい。
そもそも妖怪とその他の怪異を起こすものとの境目は曖昧で、怨霊や鬼なども妖怪と一括りになっていたりもするので、私の中の妖怪観はほぼ水木しげる先生の作品に影響されているんですが。
でもその緩い感じの妖怪観の方が楽しいので、別に研究してるわけでもないし、まあいいか、と思っています。そんな緩さのおかげで現代でも妖怪は生まれていますしね。妖怪リモコン隠しとか。
小学生や運動部のお子さんをお持ちのお家にはきっと妖怪砂運びが出現しているはず。
我が家には妖怪積読増やしがいます(←絶対いない、自分のせい)。
ちなみに私の子供の頃の愛称がのんが入る系(ぼかす意味なしな単純さ)なので、のんのんばあとして甥っ子や姪っ子に妖怪の話をする使命感にかられています(笑)。嫌がられるかな……。
妖怪はやっぱり面白いですね!

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