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「問題が発生したときのために薬をもらっておきたい」はダメです

週に1回、高齢者施設への訪問診療を行なっている。
往診先の施設職員から、

「皮膚トラブルが起きたときのための塗り薬をもらっておきたい」
「熱が出たときのために解熱剤を処方しておいてほしい」

といった依頼を受けることが頻繁にある。

その時点では、皮膚トラブルはない、発熱もない。でも、もしかしたら次の診察までにトラブルが起こるかもしれない。入居者が夜中に痛いとか熱があるとか言い出すかもしれない。だから薬をもらっておきたい。
その気持ちは分かるが、だからといって処方はしない。

なぜなら、これは健康「保険」で行なわれている保険診療だから。
「病気になるかもしれないから、あらかじめ薬をもらっておきたい」というのは、「事故に遭うかもしれないから、先に保険金をもらっておきたい」というようなものだ。

もちろん基礎疾患によっては頓服で解熱鎮痛剤を処方することはあるし、他のクリニックや病院ではもっと柔軟に(ルーズに)薬を出しているかもしれない。

あくまでも、私の勤務する訪問診療クリニックが、原則としてそう動いているという話。

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