【レジュメ】宮本輝『流転の海』全巻読書会・第4部『天の夜曲』第2章
こんにちは。
本日（23/05/22）20：30より、Discordサーバ内で、宮本輝さんの『流転の海』シリーズ第4部『天の夜曲』読書会・第3回目を行います。Discordサーバに未参加の方は、お問い合わせをいただけましたら招待コードを返信いたしますので、お気軽にご連絡ください。ぼくのTwitterアカウント @Showji_S までお寄せくださいますようお願いいたします。
前回までのあらすじ
第1部：流転の海
昭和22年（1947年）。中国大陸から生還した松坂熊吾に、50歳にして初めての実子・伸仁が生まれた。戦争で壊滅した事業の再建のため、大阪で奮闘する熊吾と、妻・房江の3人を中心とした物語が始まる。伸仁は、熊吾に何をもたらすのか―—。
第2部：地の星
房江と伸仁の健康のため、熊吾は事業をなげうって、南宇和の故郷へと戻った。松坂家の眷属たちの「生老病死」が織りなすドラマが展開されていく。
第3部：血脈の火
飽くなき事業熱のため、熊吾は再び大阪へ戻ってくる。しかし、台風のために事業に暗雲が垂れ込めた頃、伸仁は眼前で焼けて沈みゆく知人一家の船を凝視していた。
第4部：天の夜曲（第1章まで）
熊吾の中華料理店から出た食中毒を期として、松坂家は富山に移り住むこととなった。熊吾を強く誘う男があったのも、そのことの原因だった。移り住んでから、頼みとしていた旧知の河内善助の訃報が届く。葬儀のあと、熊吾は房江と伸仁を富山に置いて、大阪で事業を興すべく、一人で戻ってしまうことを決意する。
主な登場人物
倉田百合 観音寺のケンの子を宿している。「3年」と言って、ケンは熊吾と房江に百合を託していった。
嶋田家の人びと 房江と伸仁親子が住むこととなった家に同居している主の一家。長男と父親との仲が悪く、互いに暴力をふるうことがある。
高瀬桃子 熊吾を富山に招いた勇次の妻。勇次からの暴力で、流産している。
ボブ 勇次と桃子の三人の男の子の長男。本名は孝夫。
高岡 伸仁が通うことをせがんだ柔道場の主。
呉明華 大阪で経営していた中華料理店の料理長。閉店後は台湾に移り住んだ。
行商の女 熊吾のおかげで命を取り留めた幼女の家族に頼まれて、心当たりを探していた、鮮魚を商う女性。房江がしばしば魚を買っていた。
老婆 幼女の祖母。二時間かけて熊吾たちに礼を述べに来た。房江の母に似た雰囲気を持っていた。
あらすじ
熊吾が2人を富山に残して帰阪して、一か月が過ぎた。
伸仁が学校に通うのを嫌がるようになった。教師にバカにされたことが原因のようだった。房江はその教師に談判に向かった。
高瀬家に房江が寄ると、熊吾からの電話があったと言われた。
嶋田家に戻り、8時を過ぎた頃、熊吾からの電話があった。
その翌朝にも、伸仁は蕁麻疹が出て学校を休んだ。
熊吾宛ての台湾からの荷物を、富山駅で預かっているとの通知で、房江は伸仁と駅へ向かう。荷は、ピータンだった。呉明華からのものだろう。
孫娘を熊吾に救われたという老女が訪ねてきた。
主要なポイント
そして、ああ、また狭量な教師があらわれたと思い、自分でも珍しいと感じるほどに腹が立ってきたのだった（p.162）
いやに念の入った意地の悪いやり方で九歳の子を大勢の前で槍玉にあげたものだ。教える、ということといじめるということを、あなたは混同なさっているのではないか（p.163）
そのいつにない饒舌さが、新しい仕事に光明をみいだした歓びを代弁していたが（p.168）
女は損やちゃ（p.169）
房江のなかに突然「血」という一字が浮かんだ。そう、それが松坂熊吾という人間に流れる血なのだ。才気と行動力で会談をのぼって行くが、もっと高いところへのぼろうとして、いままでの階段を取り外し、別の階段に移ってしまう。これまでの階段に新たな階段をつなごうとしない（p.173）
教育のない人間には、いらいらするっちゃ（p.183）
夫は誤解をしている。私は酔うと暗くなるのではない（p.186）
夫がやろうとしているのは、自分の家もない人間が三日でビルを建てようとするのとおんなじことで、そんな手品を現実化する芸当は、戦前、戦中、そして戦後のどさくさという荒れた世の中にあっても無から有を生み出す稀れな運の良さが伴なってのうえだったのだ（p.203）
松坂熊吾という人は、髪結いの亭主に向いている。そのついでに道楽で政治遊びでもして、いなかの議員におさまって天下国家を論じているのがいちばんいい（p.203）
追記
※5月23日（火）以降に追記がされる場合があります。
今回のレジュメは以上となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。それではまた！
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