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【レジュメ】宮本輝『流転の海』全巻読書会・第4部『天の夜曲』第1章①
こんにちは。
本日(23/04/24)既に公開している下記のnoteに続き、読書会で言及することにしている範囲の「レジュメ」をお届けします。
第4部『天の夜曲』の舞台は、富山に移るようです。冒頭から、移動の車中の様子が綴られていきます。
この第1章は150ページを超える分量でしたので、新潮文庫版での61ページに見つかった空行を「区切り」と捉えて、4/24の回については、このページまでを扱うことといたしました。続きは、次回の5/8(月)の回で扱う予定となります。
1)登場人物
杉野信哉 熊吾のプロパンガス事業「杉松産業」のパートナーで、実質的な経営権を譲り受けていたが、脳溢血で倒れてしまう。元警察官。
桝井啓作・多加志 杉野の部下で、事業の中心的存在。この二人を動かして、経営の実権を握ろうとしている人物がいる。
杉野加根子 信哉の妻。夫の看病で憔悴し、桝井兄弟に経営の実権を譲ってしまう。
小谷光太郎 医師。房江の更年期障害と気鬱を診察する。
観音寺のケン 伸仁がなついていた若いヤクザ者。
けったいな易者 房江に晩年の幸福が訪れることと、伸仁が「偉大な芸術家」となると占う。
高瀬勇次 富山で自動車の中古部品の事業を興そうとして熊吾を招く。第3部でも登場している。
高瀬桃子 勇次の若い妻。
明洋軒の主人 伸仁が友人たちを連れ、ツケで飲食をしていた洋食店の主人。
呉明華 熊吾の経営する中華料理店「平華楼」の料理長。閉店にあたって、神戸に転職していく。
辻堂忠 かつて大阪で、熊吾の右腕として活躍していた男。伸仁の後見を託されている。
岩井(塩見)亜矢子 辻堂と逢瀬を重ねている女性。熊吾の経営を妨げようと画策していたらしい。
野沢政夫 熊吾の義弟になるはずだったが、転落死している。熊吾に敵愾心を持っていた。
海老原太一 熊吾に面罵されたことを恨んでいた男。
2)あらすじ
近江丸の炎上と沈没以来、熊吾の周囲では「不運」が重なっていた。中華料理店から届けた弁当で食中毒が起こって、きんつば屋やカレーうどんの店なども併せて閉業を余儀なくされた。プロパンガス事業では、杉野が脳溢血で倒れ、会社の実権が社員に譲り渡されてしまっていた。既に会っている高瀬に乞われ、再起を誓って富山へと赴くが、そこも安住の地ではなさそうなのだ。
3)主要なポイント
この4月には4年生となる伸仁は、『秘密の花園』のような小説を繰り返し読むようになっていた。
桝井兄弟は、他人をおとしいれて、他人のものを盗んでしまおうとする人間ではない。邪な縁に惑わされて、心ならずも分不相応な欲を抱いたにすぎない・・・(p.11-12)。
房江は、自分は精神病ではないと反論し、(p.13)
「死にたくなる」という病気。熊吾はそう理解したのだった(p.14)。
俺も、こんな小商いの食い物商売に飽きた(p.15)。
「うまくいけば、偉大な芸術家になる」という言葉と、伸仁は短命な人間ではないという卦に、体のあちこちに鳥肌が立ったのだった(p.22)。
いや、「もし」とか「たら」などという言葉を人生で使ってはならない。「うまくいけば」という言葉は聞かなかったことにしよう・・・(p.24)。
房江は忍耐力があり、我慢することを知っている女だが、この高瀬夫婦との同居生活は、どう考えてもうまくいきそうにない・・・(p.30)。
桃子さんは、どんな育ち方をしてきたのか(p.31)。
一割・・・。たったの一割をけちって、(p.34)
たとえ一時間かかろうが、九歳の息子がいったいどんな「鴻池の犬」を演じるのか、熊吾は最後まで聞き届けたかった(p.39)。
人種が違うって言い方があるけど、私らと高瀬さんとは人種が違うと思う・・・(p.41)。
頭のてっぺんから足の爪先まで、巷の子ォやから・・・(p.45)。
してええことと悪いことの違いを、親が教えんで誰が教えるんじゃ。日教組にまかしといたら、とんでもないことになるぞ(p.50)。
副頭取夫人の悪意が大きく関与していたとするならば、その悪意の根幹を為すものは、いったい何なのであろう(p.54)。
自尊心か・・・。これもまた人間にとって恐ろしい敵だ。自尊心という敵に最も弱いのが、じつはこの俺だ(p.55)。
提婆達多の話を聞いたとき、熊吾は、提婆達多を提婆達多にさせてしまったのは釈迦ではないのかと思った(略)釈迦が叱り方を間違えたのだ、と。だが、そんな自分の考えこそ間違っているのではないかと思ったのは、妻子ともにすごした南宇和における一光景によっている(p.56-57)。
それなのに、自尊心のために誓いと大目的を捨てるのか。そうなのか。お前には自尊心以上に大切なものはなかったということか(p.60)。
自分の人生に、目指すべき大きな目的を持っていない人間の自尊心を傷つけてはならないのだ(p.60)。
人間を鍛えなければならなかったからだ(p.60)。
4)追記
※4月25日(火)以降に「追記」がされる場合があります。その場合、再度URLをツイートしてお知らせいたします。
今回の記述は以上といたします。お読みくださいまして、ありがとうございました。それではまた!
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