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【100分de名著を語ろう】中井久夫スペシャル④

2023年、あけましておめでとうございます。旧年中はたいへんせお世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。このnoteは、1月5日(木)21時からのclubhouse「100分de名著を語ろう」ルームでもご利用いただけるものとしてまとめています。以下の見出しは、放送テキストの第4回分「精神科医が読み解く「昭和」と「戦争」」から転用しています。

①経験から現代を語るエッセイ

・「『昭和』を送る――ひととしての昭和天皇」(『「昭和」を送る』より)1989年。
・「戦争と平和 ある観察」(同名の単行書より)2005年。

  1. 昭和天皇を病跡学的に論じている。生育歴、置かれた環境がいかに天皇の身体と言動を作り上げていったかについて言及(「昭和」を送る)。

  2. 戦争を「過程」、平和を「状態」として描いた戦争の「生態学」(戦争と平和 ある観察)。

  3. 「戦争を知る者が引退するか世を去った時に次の戦争が始まる例が少なくない」。

②君側の奸コンプレックス

  1. 昭和天皇=イデオロギーを超えて日本人に愛され、時として身体的に同一化される対象でもあった。

  2. 「君主を徹底的に無垢な、純粋なものと観念」「周囲が悪い」と、「直接君主につながろうとする」。「父親に対する尊敬と軽蔑の二重の感情にもとづく」。

③近代的自我へのコンプレックス

  1. 近代化が強制されたものである悔しさから生まれるコンプレックス=①明治初期の知識人を攘夷思想から西洋文明崇拝に鞍替えさせた、②薩英戦争や下関戦争を経験しなかった世代に「近代的自我」がないという悩みを抱かせ、知識人を戦争賛成へと向かわせた。

  2. 「要するに『われわれは本物でない』ということだ」。

  3. 西洋文化へのあこがれと同時に、劣等感と憎悪を抱えている。

  4. 英米への思いと天皇に対する思いには共通項。

  5. 「日本では有名な人はたいしたことがない。無名の人が偉いのだ。めだたないところで、勤勉と工夫で日本を支えている無名の人が偉いのだ」。

④病跡学的視点で見る昭和天皇

  1. 「リラックスすることを自分に許せない人」。

  2. サバイバーズギルト(生存者の罪悪感)、戦争責任の痕跡。

⑤天皇と皇太子の連動

  1. 天皇制の安定=天皇と皇太子の連動が不可欠。

  2. 「天皇を静止的『象徴』とすれば、皇太子は機敏な『機能』である」。

  3. 「中井は、天皇が個人的な意見を持ち、それを表明することを非常に重要なこととしてとらえていました」。

  4. 「傀儡の天皇を欲する国民は、傀儡国民となるであろう」。

  5. 「危険な天皇が登場する確率よりも、むしろ危険な首相が登場する確率のほうがはるかに高い」「暴走する政治家を生まないために必要なもの」。

⑥戦争は過程、平和は状態

  1. 「戦争と平和というが、両者は決して対称的概念ではない。前者は進行してゆく『過程』であり、平和はゆらぎを持つが『状態』である」。

  2. 「戦争は有限期間の『過程』である。始まりがあり終わりがある(略)戦争は語りやすく(略)戦争の語りは叙事詩的になりうる」。

⑦目に見えにくい平和

  1. 平和というものの分かりにくさ、見えにくさ。

  2. 平和を維持するための努力とは、「しなやかでゆらぎのある秩序を維持しつづける努力である」。

  3. 「人は平和よりも安全保障を求める」。

⑧文化が戦争を抑止する

  1. 「戦争は終わらせにくい」。

  2. 「成功した戦争は少なく、また戦争の後遺症は予想外に永続的である」。

  3. フロイトは、戦争を抑止するには人を殺すことに対する抵抗感を育む文化を持つ必要がある、と説いています。

  4. 「戦争について書こうとする作業は、私の一種の喪の作業であることに最近気がついた」。

⑨中井久夫の知を読み継ぐ

⑩追記

※1月6日(金)以降、追記の上で再公開する場合があります。


今回の「レジュメ」は以上となります。最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。それではまた!


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