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【読書会】宮本輝『流転の海』を読む③~第6章

こんにちは。7月10日(日)10:20です。数日涼しい日が続いて助かりましたが、暑さが戻ってきていますね。さて、明日11日(月)21時からclubhouse内のルームにて、オンライン読書会を開催します。本稿は、そこでのレジュメとしてもご利用いただけるように書いたものです。どうぞご参加くださいますよう、ご検討ください。

第6章の概要

①昭和23年1月、伸仁が脱腸を発症し、筒井剛医師の元へ駆け込む。
②熊吾を裏切った海老原太一と対峙するが、山道に放置されてしまう。
③通りがかった北沢茂吉を頼んで、有馬温泉に向かう。
④駆け落ち相手の杉野貴子を想起する。
⑤新橋から流れ着いた芸者・春菊に自分の女になれと迫る。

①筒井剛医師とのやりとり

・「これから、もっともっと恐ろしい事件が起こるでしょう(略)憲法っちゅうやつは人間が作ったもんで、ほとぼりが冷めたら、またどうにでも変えられる代物ですけん」(172)

・「未来洋々なる何百万人もの若者をいけにえにして得た自由とは、いったい何ですか」(173)

・「私は、いま日本人がごぞってうかれちょる自由というものを、あんまりいつまでも信じちゃあいけんと言うとるんです」(175)

・「死ぬのは必然の成り行きよ。そのために生まれて来たんじゃああらせん。人間はしあわせになるために生まれて来たんじゃ」(176)

・けれども苦労と辛酸が、人間を歪めてしまう場合もある。しかし、それによって歪んでしまうか、反対に豊かな心根の持ち主となるかは、その人間の持って生まれた資質の問題だ。(178)

②海老原太一との対峙

・「お前らしい言い草やのお。言葉が違うだけで、人を裏切れ、泥棒をせえちゅうとるのとおんなじやないか」(191)

・「病気・・・。私の病気て何でっか」「見栄、自惚れ、高慢、名利、平気で人を裏切ったり、陥れたり出来る心。それが病気でのうていったい何じゃ。お前は病人よ。心が病んどる。病んで腐っとるんじゃ」(194)

・それとも、人間は、内なる己の蛇の存在を知らず識らずのうちに感知しているということであろうか。あるいは、人間は自分と同じ毒を隠し持つ人間と否応なく結びついていってしまうという意味なのか(197)

③北沢茂吉と同行

・「戦争犯罪か。戦争犯罪とは何じゃ」(205)

④杉野貴子を想起

・「いままで親にそむいたことがただのいっぺんもないこの温和しい貴子も火の玉じゃ」(213)

・若さとは、愚かで無知で純粋で火の玉のようなものだが、それらはなんと人間に思いもよらぬ不幸の種を植えつけてしまうことだろう、と熊吾は思った。(215)

⑤春菊と出会う

・その春菊のうしろ姿は、戦争がすべての人間の運命を変えたことを、百万言を費やすよりもはるかに鮮やかに語りかけていた。(221)

・人間はみな、池に映る月を、本物の月だと錯覚して生きているのではないかと熊吾はふと思ったりした。(221)

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今回は以上といたします。最後までお読みくださり、ありがとうございました。それではまた!



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