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【レジュメ】宮本輝『流転の海』全巻読書会・第4部『天の夜曲』第1章②
こんにちは。
作成がおしてしまって、少し焦っていますが何とかしたいと思います。今夜(23/05/08)20:30から、Discordサーバ内で『流転の海』第4部『天の夜曲』第1章の残り3分の2(約90ページ)を読みます。
第1章は全体で150ページほどもあり、前回は61ページの「空行」のところまで読みました。概略については、以下のレジュメが参考になると思いますので、適宜ご覧になってみてください。
Discordサーバに未参加の方は、お問い合わせをいただけましたら招待コードを返信いたしますので、お気軽にご連絡ください。ぼくのTwitterアカウント @Showji_S までお寄せくださいますようお願いいたします。
前回までのあらすじ
第1部:流転の海
昭和22年(1947年)。中国大陸から生還した松坂熊吾に、50歳にして初めての実子・伸仁が生まれた。戦争で壊滅した事業の再建のため、大阪で奮闘する熊吾と、妻・房江の3人を中心とした物語が始まる。伸仁は、熊吾に何をもたらすのか―—。
第2部:地の星
房江と伸仁の健康のため、熊吾は事業をなげうって、南宇和の故郷へと戻った。松坂家の眷属たちの「生老病死」が織りなすドラマが展開されていく。
第3部:血脈の火
飽くなき事業熱のため、熊吾は再び大阪へ戻ってくる。しかし、台風のために事業に暗雲が垂れ込めた頃、伸仁は眼前で焼けて沈みゆく知人一家の船を凝視していた。
第4部:天の夜曲(第1章61ページまで)
熊吾の中華料理店から出た食中毒を期として、松坂家は富山に移り住むこととなった。熊吾を強く誘う男があったが、富山は果たして、松坂家の安住の地となり得るのだろうか。
主な登場人物
高瀬孝夫・弘志・憲之 高瀬家の三兄弟。それぞれ、ボブ、ミッキー、トムと伸仁に「あだ名」をつけれらる。
高岡 雪で転んだ熊吾を治療した柔道家。
高瀬勇次・桃子 三兄弟の両親。自動車の中古部品業を富山で立ち上げようとして熊吾を強く誘った(勇次)。しかし、経営観について熊吾と相容れない。桃子は、年齢の離れた妻。
柳田元雄 柳田商会店主。かつて熊吾に世話になっていたが、店を広げてきている。
河内善助 東京に来ていた高瀬に熊吾が紹介した商売仲間。伸仁をかわいがっていたが。
深泥の唐沢の叔父 学識に富んだ人物で、幼かった頃の熊吾を諭したことがある。
丸尾千代麿 熊吾の商売仲間。房江には知られたくない「秘密」が、熊吾との間にある。
久保敏松 堅実な商いをしている中古車ブローカー。
観音寺のケン(姫田健蔵) 伸仁をかわいがっている若いヤクザ者。千代麿に久保を紹介する。
倉田百合 ケンの愛人。妊娠している。千代麿、久保、ケンとともに富山にやってくる。
嶋田元雄 房江と伸仁を住まわせる部屋の貸主。
あらすじ
熊吾は事業の相方として、高瀬がふさわしくないことにいら立ちをかくせなかった。そこへ、旧知の河内善助急逝の報が届く。
河内の訃報を、伸仁と房江に伝えた熊吾。房江は、中古部品だけでなく、中古車の売買を提案する。
河内の告別式のあと、熊吾は千代麿、ケン、百合、久保らとともに富山に戻った。百合は妊娠していたが、ケンは父親となることを躊躇っていた。ケンは、熊吾と房江に、3年間百合を預かってはもらえないかと懇願した。
熊吾らが高瀬家に戻ると、桃子が暴力を振るわれた後だった。桃子は妊娠していたが、流産となってしまった。
一人大阪に戻り、事業を再開することを決めた熊吾は、百合と房江・伸仁の部屋を探しに、伸仁を伴って出かけて行った。
主要なポイント
いまはわからなくてもいい、頭に入ったことは、いつか何かの拍子に思いだして、おとなになった伸仁はそれを何らかの指針とするときが来るだろうと思い、
「自分の自尊心よりも大切なものを持って生きなきゃあいけん」
と一語一句区切るようにして言い聞かせた(p.64)自尊心と誇りとは別のもんじゃっちゅう気がする(p.65)
善助おじさんの死が、いま九歳の伸仁にさまざまな感情をもたらしているのであろうと熊吾は思った(p.77)
だが、たとえ一升しか入らない枡であっても、人間の場合、その枡の形がみな同じだというわけではない(p.78)
肉体は放っておいても成長するが、「精神の型崩れ」には手当てが必要だ。そしてその「精神の型崩れ」が度を過ぎないようにさせるのは、幼い頃の育ち方であり、周りにどれだけのまっとうなおとなや友だちに恵まれるかによっている(p.78)
自分が直接、自分の耳で聞いたもんしか信じちゃあいけん(p.81)
蛙の子は蛙と言うが、はたしてそうなのであろうか。蛇の子は蛇・・・。だが人間はどうなのか。性質や気質といったものは多かれ少なかれ引き継いでいるとしても、人間は育ち方次第ではないのか(p.103)
茫洋とした久保の口から出る話題や知識の豊富さは、すでに初めて逢ったときから、熊吾に、一介の中古車ブローカーにはない教養と人間の幅を感じさせていたのだった(p.113)
高瀬勇次の言い分を聞いているうちに、熊吾は、富山での生活に見切りをつけた(略)俺はなんとまあ、人を見る目が狂ったことであろう。貧すれば鈍するというやつだ。俺も落ちぶれたものだ(p.118-119)
環境というのは恐ろしい敵であり、「朱に交われば赤くなる」という諺は不変の真理とも言える。伸仁には、しばらくいなか暮らしをさせたほうがいい・・・(p.129)
この日本の「公」というところに自分の息子を託してはならない。そこでは、何か大切なものが奪われていく気がする(p.140)
これだけ教えられて、それでもやっちゃあいけんことをやってしまうとしたら、それはもう教育や躾の問題やあらせん。その人間の持って生まれた業っちゅうもんじゃ(p.147)
追記
※5月9日(火)以降に追記がされる場合があります。
今回のレジュメは以上となります。お待たせしてしまいました。お読みいただき、ありがとうございました。それではまた!
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。ときどき課金設定をしていることがあります。ご検討ください。もし気に入っていただけたら、コメントやサポートをしていただけると喜びます。今後ともよろしくお願い申し上げます。