文化力

子供の頃、毎年夏になると行っていた従兄弟の家の彼の部屋の壁には「サイモンとガーファンクル」のポスターが貼ってあって、当時小学生だった私は「この人たちは誰なのかな?」と思っていた。もうかれこれ40年以上も前のことだ。私は当時日本の歌謡曲しか聞いていなくて、彼らが歌手と知ったのはその数年後親の海外転勤について行ったインターナショナルスクールでであった。今でも彼らのハーモニーは美しいと思うし、ポール=サイモンのソロもよかった。今思うと田んぼに囲まれた従兄弟の家と彼らのポスターは何となくミスマッチだ。

アメリカは若い国にもかかわらず世界におけるその文化の影響力は強い。音楽、映画、ミュージカル等不思議なほどだ。(イギリスからくるものももちろんあります。ビートルズを見よ。英語圏は強いということかな?)アメリカはジャズやロックやラップなど発祥の地だからかな。今思うと私も小さい頃からアメリカの映画やテレビ番組を見ていた。でも同じ年の米国人の夫は子供の頃に日本の番組や映画は見たことがない。この辺りの私と同じ年代かそれより上のアメリカ人は文化的には保守的だ。字幕を嫌うし、外国語の歌も聞かない。

だからアメリカのアワードを世界中のアーティストたちが目指すのはわかるよ。わかるんだけど・・・アカデミー賞やグラミー賞ってオリンピックというよりはワールドシリーズやスーパーボウルに近い気がするんだよね。(アメリカ一の野球チームを決めるのに「ワールドシリーズ」というネーミングもすごいが)どいうことかというと、これらのアワードは国際基準というよりアメリカ基準なのではと思うのだけれど・・・。Weverseのファンのチャットを見るとBTSの人気はアメリカをはるかに超えて世界中、各大陸にいるという印象を受けるのだけど、やはり彼らはグラミーを目指す。ファンとしては受賞したら嬉しいけれど出来なくても個人的には彼らはアメリカのアワードを超えていると思うんだけど。(選考基準そのものがよくわからないという話もあるし)

でも私がそうだったように映画や音楽を通してアメリカの文化や生活に触れてそれでアメリカに憧れたり良い印象を持った子供や若者は世界中に沢山いると思う。悪いところももちろん沢山ある国だけれど、それでも移民が絶えないというのはどこかしら魅力のある国なのだ。

アメリカは軍事大国でももちろんあるのだけれどそれよりもはるかにアメリカ文化が(良くも悪くも)世界に与えた影響は強いのでは。ディズニーやスターウォーズ、最近ではマーヴェルのシリーズ、ロックやラップなどを通して。

今日モクパンやキンパなど26語の韓国語の単語が英国オックスフォード辞典に加わったというニュースがあった。映画「パラサイト」、BTS, また最新のNetflixシリーズ、「イカゲーム」などの影響があるらしい。すごいよね。韓国の人口は5000万人くらいだろうか。その小さな国がこれだけ影響を持つことができるのだね。私も韓国語の勉強はしていないのだけれどBTSの音楽を聴いたり、Run! BTSなどを見ているうちに単語を数語覚えたし、韓国料理も美味しそうだな、と思って見ている。娘たちは二人とも韓国に行ってみたい!と言っている。特にBTSが出ていたソウル市の宣伝を見てからは物凄く行ってみたくなったらしい。うーむ、まんまとハマっている・・・。文化力って軍事力よりも強い・・・。

ちなみに米国では日本の文化も頑張っている。特に漫画とアニメ。本屋さんに行くと英訳された日本の漫画が並んでいる。下の娘の友達(小5)は「鬼滅の刃」(Demon Slayerと言います)にハマっていて私に日本語教えて!と言って、なかなか上手に挨拶を交わしてくれる。

韓国の文化の影響力がもっと広まって、例えばそのうち韓国の音楽アワード番組で賞を取ることが世界のミュージシャンの目標となると面白いと思う。外国の文化は自分がいるところだけが全てではない、ということを教えてくれて、自分のいるところが辛くなった時の逃げ場を作ってくれると思うから。


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