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廃校に住んじゃった!〜長期滞在メンバーストーリーズ〜池田つづみさん編

福岡県田川市にある廃校利活用施設いいかねPalette。「なんでもできる世界をつくる」をキャッチフレーズに音楽スタジオや宿泊など、様々なことができる施設として運営しています。

いいかねPaletteにはワーケーションなどで利用できる宿泊プランのほかに、「長期滞在プラン」というものがあり、現在、この施設の中には約二十名が暮らしています。

この記事では「長期滞在プラン」でいいかねPaletteに暮らす人たちがどんな理由でここにやってきて、どんな暮らしをしているのか、彼ら彼女らにインタビューすることで、その実態を探っていきます。

池田つづみさん

長期滞在者:池田つづみさん(以下「池田さん」と表記)
聞き手:タカキユウト


キッカケは占い????

ー池田さんがいいかねPaletteに来たきっかけは?

「やまの3人」という音楽イベントを観に来たことがきっかけです。2022年の夏でしたね。

ーその時にいいかねPaletteを気に入って、長期滞在になってくれたのですか?

実は、そうではないんですよね。笑
その後、大阪に帰ってからしばらくして、一人暮らしがしたいなーって思うようになりました。

それで友達に占いに連れて行ってもらったんですが、その時の占い師から「一人暮らしじゃなくて、1ヶ月くらい南の方に行きなさい」って言われたんです。

ーえっ?占い師からですか!

はい。その時が2022年11月くらい。占い師からそう言われた時にここ(いいかねPalette)のことが頭に浮かんだんですよね。それで初めて1ヶ月くらい長期滞在をしてみました。

そして、2回目は、2023年3月から。そして、一旦大阪に帰ってから、2023年8月に3回目の長期滞在をして、今まで、ここに住んでいます。

くつろぐ池田さん

新しい出会いと新しい居場所

ーそうなんですね。1回目は「占い」が理由で来てくれたことは分かりましたが、2回目、3回目の長期滞在の理由ってなんですか?

理由は色々とありすぎるんですが、あえて言うと、色んな天才との出会いですかね。最初に来た時、音楽関係の人たちと知り合いになって、天才ばかりだなって感じました。

さらに長期滞在で一緒に住んでいる人たちもある意味で天才が多くて、自分に持っていないものをたくさん持っているんですよね。

あと、コミュニティがあることですね。

音楽関係、仕事関係、長期滞在関係、様々なコミュニティがあるのだそう

私は今、WEBデザインの仕事をしています。WEB制作会社に所属しているんですが、そうなると自分の居場所が「実家」と「会社」と「周りの友達」だけになってしまうんですよね。

もともと住んでいた大阪では、業務はリモートで、実家で作業していました。会社とは業務のことでやりとりをして、仕事が終わったり休みの日には友達に会ったりしていました。

そうなると私自身、心の余裕がなくなってしまう気がしてしまうんですよね。それ以外に、逃げ場がないというか。

ここには、それ以外に長期滞在のコミュニティや音楽関係のコミュニティがあります。

ーなるほど、居場所が増えたんですね。

仕事でうまくいかなくて落ち込むことがあっても、この環境が自分自身の心の余裕を生んでいるような気がしますね。

あと、ここには色んな生き方をしている人がいます。会社員だけじゃなくて、フリーランスの人や何をして生活しているのか分からない人も。

それと関連しているような気がしますが、ここには、「イベントに参加する人」よりも「自分でイベントを企画する人」が多いですよね。

だから、ここに来て、いろんな音楽イベントに関わらせてもらっていて、すごく楽しい日々を送っています。もしかすると、企画者の人にうまく巻き込まれてだけなのかもしれませんが。笑

一方で、長期滞在の人たちとの関わりもそうですが、意識して自分の時間を確保しないと、キッチンで話し込んでしまったり、遅くまでイベントに参加したりして、自分の時間がなくなってしまうっていうのはありますね。

ズルい自分を変えたい

ーここで暮らして自分自身が変わったなーって思うところはありますか?

初めて長期滞在した理由は「占い」なんですが、2回目にここに来た理由が2つあるんです。

その1つは音楽で、私はずっと「曲を作りたい」って思ってたんですけど、うまく作れなくて。もしかしたら、ここに来たら、自分で曲を作れるチャンスがあるかもって思ったんですよね。

もう1つの理由は、私の中にある「ズルさ」を無くせるかもって思ったからです。

ー「ズルさ」ですか?

はい。私は自分自身をズルい人間だと思ってます。伝えるのが難しいのですが、「狭さ」というか「自分だけ得したい」というか、自分の中にそんな気持ちがあるんです。

ーなるほど。でも、それは僕にもあるし、誰しもあるものだと思います。ただ、それをなくしたいなって思って行動する人はあまりいないかもしれませんね。

ある時、他の長期滞在の他の友達と私自身の過去の話をしていたら、その友達から「あと一個足りないよね」って言われたんです。

具体的に「何が足りない」っていう話ではないんですけど「一個足りない」って言われて、「確かにそうだな」ってすごく納得したんですよね。

ー言語化は出来ないけど「当たってる」って感じたんですね。

はい。その時はその足りないものを「ズルさ」と言語化出来なかったし、今でも、それが正解かどうか分かりません。

でも、ここで暮らしたら「何かが足りない自分」を変えることができるかもしれないし、それに気づくための歯車があるかもしれないって思ったんです。

例えば、長期滞在で一緒に暮らしている倉岡花ちゃんのことを、私は注目しているんですけど、花ちゃんって、愛に溢れた人だと思ってて。

長期滞在の仲間と話して何かを感じたり、その中で、自分自身が何かに気づけるかもしれないし、自分に必要な何かが見つかるかもしれないって。

それが何なのかは、具体的には分からないんですが。

いい曲を作っていました

楽しみながら変化できる場所

ーそうなんですね。そういうのって言語化が難しいし、言葉で説明するのは難しいですよね。確かに、池田さんと同じように「自分を変えたい」って思っている人にとって、長期滞在は、合っているかもしれませんね。

はい。ここの長期滞在のコミュニティって、普通の社会のコミュニティと違うところがあるなあと思っています。

例えば、人がコミュニティの中で「自分を大きく見せたい」って思ったり、間違いを指摘されたら仕返しに攻撃したり、そういうことってよく起きると思っていて。

長期滞在のコミュニティの中には「それが無い」と言えば嘘になるけど、そういうのが本当に少ないなって思います。

ーそうなんですね。なぜでしょうね?

多分「自分をより良くしたい」って思っている人が多いからだと思います。自分の「プライド」より、自分が「成長できること」を大切にしているから、何かトラブルみたいなものがあって話し合いになる時も、みんながフラットに話せていて、とても幸せだなって思いますね。

ーありがとうございます。最後に、これから長期滞在してみたいなとか、長期滞在を検討している方にメッセージをお願いします。

「楽しんでください!」と伝えたいです。多分、長期滞在するのには、いろいろな目的があると思います。きっと色んなものを持って帰れると思うんで、それ以上でも以下でもなく、楽しんでください!って伝えたいですね。

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