在宅と温熱環境

在宅してると案外寒くないですか。
春とはいえ、朝晩は冷えるし晴れていないと日中だって寒い。友人がオンラインでのオフィスの在り方の議論をしていた時に、ふと自分の専門分野とオンラインをつなげて考えたことはなかったなと思いまして。
私の専門分野としては『温熱環境』、『快適性』です。
なので、『オンライン』と『温熱環境』・『快適性』ということになります。

考え始めようと思ったとき、あまりの相性の悪さに驚きました。
そりゃ考えが及ばないよと。
僕ら空調設計者が日頃考えているのは、
人が集まるように環境制御をする。
集まっている人に対して省エネを考えて空調する
どちらも人が集まってはじめて、効果を発揮するし、みなさん投資しようと思うことです。
多くの方が仕事する場所が急に自宅に変わった中で、自宅をそもそも仕事用に計画している人なんて少ないと思うんですね。
だから少しでも皆さんがイメージできるような知識であったり、こういう風に理解するといいのかっていう部分を簡単にシェアして、少しだけでもよい環境ができたらなと思うわけです。

なるほどな発想とか、これ一つで画期的に在宅環境が改善!っていうような情報にはならないと思います。むしろ、こんなことかよってことばかりになると思います。。。
ゆくゆくはリモート環境での温熱環境の在り方とか本職にもつながるようなことも考えていけたらなと思ってますが、まずは身近なところから。

今は冬から春に移っていく時期なので、温める方向でお話していきたいです。
手っ取り早い温まり方としては、『あったかいものを近くに置きましょう。』ってことになるのかな。簡単ですねぇ。拍子抜けですねぇ。
でも、あったかいものがあるとなんで自分もあったかくなるんだろうってしっかり理解できると、どういうものが今の自分の環境には適しているのかがわかると思います。
熱の伝わり方には3種類ありまして、「伝導」「伝達」「放射」となります。
「伝導」は接している物同士で熱が移動すること。湯たんぽ持ってるとあったかいですね。
「伝達」は自分の体と体の周りの空気の間で熱が移動すること。エアコンであったかいのはこれですね。
「放射」は距離に関係なく、体とあったかいものの間で行われる熱の移動。電気ヒーターはこれです。
それを踏まえて先ほどの『あったかいものを近くに置きましょう。』を考えてみると、主に「伝導」と「放射」で説明がつきそうです。
猫が体に触れていればあったかいし、ヒーターが近くにあれば十分あったかいです。
あと、このふたつは「伝達」よりも効率がいいです。
今回の場合はみなさん自宅ですから、そんなに大勢の人の温熱環境に配慮する必要はないと思います。部屋全体の空気温度を上げるのにはエネルギーたくさん使いますし、電気代もかさみます。一人一人に合わせた温熱環境をつくったほうが何かとスムーズにいくのではないですかね。
ちなみにこのような空調の仕方を「タスク空調」といいます。ちょっと前から流行っていて、いまだにトレンドです。

非常に簡単なお話で、すでにそうしているという方も多い内容だと思います。すみません。でも我々が設計で考えているのってこんな簡単なことなんです。それをどうやって作り上げるか、どんな空間に落とし込んでいくかが勝負なんです。
あと、熱に関して話すのならここからだなと思ったのでこちらのトピックにさせていただきました。
みなさんなりの「タスク空調」を試していただけたらなと思います。

今までの投稿と毛色が全く変わりましたが、これからものぞいていただけると嬉しいです。


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