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国語辞典の読み比べを楽しむ

15年ぶりに国語辞典を新調した。高校時代から使っている定番の「新明解」と、言葉の使い方解説に定評のある「明鏡」の二つ。どちらも2020年に改訂された最新版だ。
 
「SDGs」「コロナウイルス」など時代を反映するキーワードはもちろん、明鏡にいたっては「ディスる」「エモい」など若者言葉も収録している。「やばい」の項目に「最近の若者の間では一種の感動詞のように使われる」など、最近の語釈もおさえていて、パラパラとめくっているだけでも楽しい。
 
考えてみれば、長い時間と多くの人の労力をかけて出来上がった1800ページにもわたる日本語学習の「大著」なのに、値段は1冊3300円前後である。これほど自分を高めてくれるコストパフォーマンスのよい書籍はほかにあるだろうか。

これまでは各辞書はそれほど大差はなく信頼できる1冊を使えばよいと思っていたが、以前読んだ鹿児島大共通教育センター准教授、渡辺弘さんの新聞連載によると、それぞれ編集方針に個性があるので「複数買って比べるのがおすすめ」らしい。確かに新語収録を見ても、新明解が社会性・時代性を帯びた言葉を積極的に採用しているのに対し、明鏡は会話や興味など「日常」に軸足を置いている印象だ。実際に2冊を読み比べてみて、その考え方に納得した。
 
幼少期から日本語を使い続けて40年以上。特に意識せずに書いて・聞いて・話して…難しい言葉は知らなくても、それなりに習得しているものだと思っていた。ところが2冊に目を通していくうちに、誤った意味で使っていた言葉も次々と見つかった。買いそろえた二つの辞書の助けを借りて、もう一度自身の日本語を見直してみたい。


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