グッバイ
「灰色の茨道を目指して地球を救ってみせる」
サスライ先生の学校中に響く声で、コウはビクッと跳ね起きると、すぐさま黒板の上にかかる時計を見た。
5時間目の授業が終わろうとしている。
コウはがっかりした。
ふたご座流星群のピークを見逃したからだ。
「灰色の茨道は、無数の棘が地面を覆っているらしい」
楽しみが去った教室ではサスライ先生の声は耳に入らない。
コウは帰ることにした。
無性にアジのみりん干しが食べたくなったのだ。
急いで3分で帰ってみせようと思った。
けれどドアを開けた瞬間、コウは驚き、立ち止まった。
廊下は辺り一面、星だらけなのだ。
どうやら教室が夜空に浮いているらしい。
教室の中は、窓から見える景色も含めていつもと変わらないのに。
本当に、変わらないのだろうか。
(了)
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