見出し画像

中国プデュはアイドルの概念を覆す

中華ドルオタク界隈では連日プデュの話題で持ちきりですね〜!本家は韓国 音楽専門チャンネルMnet発の公開オーディション番組。その中華版が今シーズン2番組同時放送中(規模がチャイナ)な訳です。

我がオタク事情

韓国プデュでは、シーズン1と2だけリアルタイムで視聴していました。それ以降2つは、時期的に多忙で少し知っている程度です。日本版プデュの日プ・i-landは見易かったので断片的に見て履修済み。しかし全シリーズ共に残念ながら見届け人で終わっています。オーディション番組から生まれるグループ像が自分の好みには合致しにくいみたいです。情報収集と分析が面白くて、そこに楽しみを見出していたのだと最近になって気付きました。


Produce101の独自性

ここ近年、kpop産業が大きく変わってきました。日本ほどの音楽市場規模ではなかった韓国が国策で取り組んできたのが、Kpop。外国人も参入してくるとなると、人材発掘も更に高倍率になるし大手事務所に入社出来てデビューに至る人は、ほんの一握り。プデュシリーズの初期はそれこそ、チャンスを逃した子・再起にかける子の挑戦する姿が印象的でしたよね。野心家な子が目立っていた。

番組の変化のキッカケは、シリーズ2の大ヒット。Wanna oneの勢いは当時のEXO,BTSに並ぶ人気ぶりでした。プデュというのが一つのブランドとして確立した事で転換期を迎えたように思えます。シリーズ3以降は製作陣による印象操作・投票操作が問題となったり、日本の既存グループとのコラボなど上層部の思惑とビジネス化が顕著になりました。


kpopって韓国人によるアイドル産業なのでは!?

kpopを全く知らない人はこういう認識だと思います。日本においては、TWICEの活躍を台頭として日本人でもkpopアイドル/アーティストがいる事が認知されてきたと思うのですが、今や韓国基盤ではないものの、"Kpop発"とされるグループが色んな地域で誕生しています。日テレ系列で独自放送されていたNiziUがその代表。

そしてこのプデュシリーズは・・?というと、全く別の界隈で活動していた人がこの番組への参加を機に芸能人としての道が開けたり、アイドルとして長年苦労していたり、一般の学生が参加・・など練習生のバックグラウンドは様々。アイドルの裏側を見せて消費させるような日本のアイドル産業要素を熾烈なkpop式で描くノンフィクションドラマみたいな感じと表現すれば伝わるかな。


普通に大手芸能事務所に所属して華々しくデビューしたアイドルとは全くスタンスが異なります。Kpop産業の裏側を知れる事が醍醐味になっていますね。ファンサイドの人気投票で1つのKpopグループが誕生するというのもファン心理をよく利用しているなと思います。SNS時代ならではの親近感が人気の一因となることからも、アイドルの変化を実感します。

中国の音楽産業は日本と同様、内需が高いのでこれまであまり外部に広く認知されてはこなかったのですが、プデュとのタイアップ、オーディション番組の流行が機転となり一気に中華ドルが日本でも注目されてきました。これもまた一つのムーブメントとして、この後落ち着くとは思いますが。また、NCT界隈でWayZenNiを中心とした広報活動の功績が大きそう。


中国版プデュとは

2月から始まったプデュは主に2つ。创2021青春有你3です。各々シリーズでは第4,3弾ということで通称前者が創4・後者が青3と呼ばれています。詳しいことは以下の記事をご参考に・・。

主観での解説も少しばかり。

创造营2021はテーマが「異文化交流」その名の通り、アジア圏の様々な地域と言語を話す参加者が目立ちます。

放送中は翻訳機を耳に付けているのが印象的。本家プデュよりも外国人参加者が多そうです。また今回は日本人参加者も多く、配信では日本語での字幕もあるので同国視聴者が多い印象。『日本人だからこそ細かいニュアンスが伝わってくる事に共感を覚え、その親近感から推したくなる派』には、こちらの視聴をオススメします。番組の構成は見やすくて面白そうですよ。f(x)出身 アンバーがメンターを務める番組です。


中国プデュはシステムがやや複雑

自分は元より青春有你の前身番組、''偶像練習生''に知っている子が参加した影響で断片的にではありますが、同シリーズを視聴してきました。身内に香港人がいたり、香港でも生活経験があるため中華圏の事情や言語に触れる機会が多い。標準語と広東語はいくつか単語を知っているのと英語は分かるので字幕があれば話が追える人です。

少し話が逸脱しましたが、今回も青春有你をメインに観ています。リサちゃんの指導も見応えがあるので。

中国プデュは「分量問題」どころか「供給量が多すぎる」(週2の配信・1回3時間放送 ) ため、両方をしっかり視聴するのは中々大変。以下、魅力についてはこの青春有你3の出演者にフォーカスしてみます。

個性を放つ面々

青3を見ていると、キャラクターが濃い方が非常に多い。練習生一覧が公開された時にも大変話題になった熊猫堂(produce pandas)のみなさん。

親しみやすいキャラクターのお兄さん5人組。タピオカ屋さんではありません。そんな彼らも、参加を公表した当初は批判の声が挙がっていたり、ネガティブな話題がつきものだったそう。そんな風潮を一変させたのが初回パフォーマンス。

場の空気を味方につけるパフォーマンス力は必見!

勇敢值得被欣赏 但总是从被嘲笑开始 这也是勇敢的一部分”
Bravery is worth appreciating but it starts with being laughed and It's also a part of being brave. ''勇敢さは評価に値するが最初は笑われることに始まる。それもまた勇敢であることの一部。'' (青2のEP一文より引用)

最初の評価ステージにて、自分たちの楽曲パフォーマンス後にBLACKPINKのKill This Loveもスペシャル披露した彼ら。リサちゃんも初見の際、彼らのようなアイドルはKpopにはいないと明言しながらも、ステージを見て時折笑いながら「かわいい!!他のメンバーにも見せるね」と大喜び。純粋にパフォーマンスを楽しんで視聴し、平等に練習生を評価する姿勢には、彼女が好かれる理由が詰まっているなと思いました。


青3で注目している練習生たち

スキンヘッドと長髪のお2人。毛量の差が目に留まる。『美形は長髪か坊主に限る』と豪語する拙者の理想がいらっしゃいました。スキンヘッド兄さんこと、梁森さんはNCT(WayV)ウィンウィンの学友。長髪美人が滢皓ちゃんです。ビジュアルにフォーカスして話すとメジャーなアイドルには少ない風貌だと思います。

この2人は、自分の意見・確固たるマインドを持っていて急に話を振られた時にもしっかり応答できるのが印象的。カメラに2ショットが抜かれることがあまり無い実力派のAクラス同士ですが、一緒にいることも多いみたいです。お互い自分の色が明確なので気が合いそうな雰囲気はある。早くステージでの共演も見たいね。

貫禄あり過ぎでしょ。※彼は練習生です※

続いて、角度によってはWayVクンさんにも見える徐子未くん。一言目を発した瞬間から一気に空気感を変えられるボーカリスト。

彼もAクラスの子です。歌唱力オバケとはまさにこの事。メンターのリサちゃんも言っていたように、言葉の意味が分からなくても心に響く歌声を持つ練習生です。声の表現の幅が広くてダンスナンバーではこの声がどう活きてくるのかが見もの!

ラッパーからも2名をご紹介。

評価ステージを見る座席で梁森さんの隣にいるサングラス兄さんこと、张思源くん。若干バンタンのjhopeさん感あるよね(?) ラップだけでなくボーカルレベルも高い彼。雰囲気がYG。フェスの常連になって欲しいなと思うパフォーマンスが素晴らしかったです。


青3 初回ステージで自作曲を披露した十七くん。

《光》は過去に受けた校内暴力被害者としての告白ソングでした。同じ立場で今苦しむ子供達に光を届けたいという意味を込めたものです。そんな辛い経験をした彼ですが、輩トリオこと张思源、梁森とも仲睦まじい姿を見せており、今後ステージを披露する予定なので共演が楽しみです。


自分にとっての「偶像」的存在

色んなキャリアや人生を送ってきた人たちが参加する中国プデュ。日韓のオーディション番組の様な演出や殺伐とした雰囲気は皆無です。サバイバルを見ているという感覚が無くなります。

アイドルに挑戦する年齢にしては高年齢とされる人・髭を生やした人・スキンヘッドの人・ジェンダーレスな衣装を纏う人・離婚歴のある人 など

出演者の多様性

メンターたちも、練習生に対して自己肯定感が損なわれないように言葉を選んで指示しているのが本当に好印象。練習風景も仄々としていて、メンターが実力不足の子に対してマンツーマンの指導を比較的明るく行っているのが見受けられます。だからか、練習生とメンターの立場が対等であり実力が無い子の様変わり具合にびっくりしちゃう。練習生だけでなく、画面の向こうの視聴者に刺さる名言が多く生まれるのが青3、中国プデュ共通の魅力です。

To decide on new possibilities for singing and dancing girls.We don't define girls.We don't define girls groups with all your boundless imaginations on ''X''. 女の子である事を定義しない。ガールズグループであることを定義しない。Xという無限の想像力を持っている。

これは青2にてTHE9のセンターとしてデビューした刘雨昕さんのスピーチ。多様性は認める/認めないのフィールドで語れるべきではなく、本来尊重であるべきであると思っています。自分のコミュニティーから一歩離れると少数派の存在はほぼ無きに等しい扱いであったり、マジョリティー層に知られる機会は非常に少ない。そんな人々の声も拾い上げて、多様な楽曲と勇気ある言動で支持を得ていたのが時代の先駆けf(x)であり、アンバーがその役目を担っていました。

創造営のメンターとして

アイドルに何を求めるかは人それぞれ違うと思いますが、自分は決まったコンセプトに基づく「偶像性」・元来のアイドルらしさよりも「自我を見せる」アーティスト寄りのアイドルが好みです。歌やダンスを1つのコミュニケーションとして他者に伝えられる人と言うべきなのか。大多数の人間像から描かれる楽曲よりもニッチな層に刺さる作品を求めちゃいますね。

社会にいるはずの存在を透明視しない

青春有你を見ていると現代社会が目指すべきロールモデルになっていると感じます。まさに理想郷。それが大衆に「1つの新概念」として自然に認知されていく姿は、自分が好きなNCTの雰囲気と似通っているなと思います。

中国プデュの人選、メンターの経歴も練習生たちの見本となるような人たちで非常にカッコ良いです。メンターのファンになりそうなくらい、名言が量産されていて、一視聴者として人生指針にしたいような教訓を得られます。

周りにいる多くの人も違う声をあげて貴方たちに影響を与えようとするかもしれない。けれど一番重要なことは自分の中にある答えに対する確信です。(青3 初回評価時のPD発言より)

中国プデュ発グループの残念な点は、デビュー後の供給が少ないところ。ソロ活動を重視する傾向や韓国ほど「グループアイドル」活動の基盤が固まっていない事も要因なんだろうと察します。デビューが出来るかどうかは置いて、勇気ある一歩を踏み出してくれた練習生たちが番組出演を機に、活動が軌道に乗ると良いなという気持ちで最後まで見守りたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?