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ミャンマー内戦⑦国軍派民兵の役割


シャン州南部

パオ民族軍(PNA)が、パオ民族解放軍(PNLA)などの反政府武装組織に占領されたシセン郡区の奪還作戦を主導した。PNAは、シャン州南部で勢力を強めつつあるカレンニー民族防衛軍(KNDF)などのカレンニー族の武装組織に対する重要な緩衝地帯としても機能している。

ミャンマー中部

2023年11月、PDFが1027作戦後初めて制圧した町として注目を浴びたサガイン管区のコーリン市は、2024年2月に国軍によって再び奪還されたが、その際、約1000人のピューソーディー(民兵)が国軍を支援した。

ミャンマー北部

シャンニー民族軍(SNA)、リス民兵団、ワザラップ民兵団などによってカチン独立軍(KIA)の勢力拡大を組織している。リス民兵団は、リーダーのウ・シュエ・ミン(U Shwe Min) が2024年3月戦死したが、KIAによって占領されたいくつかの拠点を奪還した。

タニンダーリ管区

抵抗運動が活発であるにもかかわらず、タニンダーリ管区における国軍の統制の喪失は、相対的に見れば、他の周辺地域に比べてはるかに緩やかなペースである。これは、PDFと戦う地元民兵の存在が大きいことが一因だ。

ラカイン州

国軍はロヒンギャ族の強制的な徴兵に頼っており、アラカ軍(AA)も、これを非難している(ただし、AAもロヒンギャを強制徴兵、拉致、殺害していると報道されている)。新兵の投入により、国軍はブティダウンでのAAの進撃を遅らせることができた(今のところ)。

まとめ

この傾向には例外もある。シャン州北部の民兵は、3兄弟同盟による画期的な攻勢である1027作戦を前に、即座に降伏した。カレンニー州では昨年、国軍派民兵が離反して反政府側に加わった。

民兵組織にはさまざまな形態がある。国軍によって強制的に徴兵されたり、行動を強要されたりしているものもあれば、いずれの側にも属さないものの、安全保障上のジレンマに直面し、選択を迫られているものもいる。政治思想には無関心で、国軍に買収されているものもいる。特定の主体に反対しているものもいる。

例えばシャンニー民族軍(SNA)は、クーデター以前、国軍と何度も衝突していたが、同時にカチン独立軍(KIA)に対しても強い不満を抱いており、KIAがPDFの新兵を支援し始めると、国軍側に付いた(※SNAは従来よりKIAと対立していたことから親国軍的で、クーデター後、シャンニー族の若者をPDFに養成していたが、その若者たちは親国軍的なSNAに不満で、訓練終了後、ライバルのKIAの傘下に入ったという経緯がある)。

既存の不満があれば、国軍は分割統治をやりやすくなる。しかしもしも反政府勢力が民兵との関係をマネジメントすればその限りではない。ミャワディでは、カレン民族解放軍(KNLA)は少なくともBGFと直接対峙する事態は避けた。

あまり研究されていないが、国軍派民兵組織は増加傾向にあるようだ。505サヤドー(著名な国軍派僧侶)が率いる民兵団など、効果的な兵器やドローンの訓練を受けている組織もあり、数千人の兵士がいる可能性もある。 民兵の分野は注目に値する。

参考


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