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起きない朝

2019年8月27日
もうどんなふうに起こしたのかも
覚えていません。
そらもどんなふうに起こされたのかも
覚えていないと思います。
「お腹が痛い」
と言ったのか、
「頭が痛い」
と言ったのか、
それとも全く反応がなかったのか…。

何も覚えていないけれど、
「本当に起きないんだ…」
と思ったことだけは覚えています。

昨日あんなに元気に起きてきたのに?
今日は起きないの?
って。

次の日もその次の日も
朝になったのに
そらは起きません。

これが「起立性調節障害」なのか。
突きつけられた現実に私はうろたえました。

2019年8月30日
どうしたらいいのか分からなくなり、
まず、かかりつけの小児科医さんのところに行きました。
「先生…、
この間まで普通に起きてきてたんです。
でも、起きません…。
起きてきても貧血を起こして、
意識はありますが家の中でも倒れます。」
小児科医さんがなんと仰ったのかも
覚えていません。
ただ、「血圧の薬を出すね」と
「メトリジン」を処方されました。

「メトリジン」は簡単に言うと
血圧を上げる薬です。
そして朝、服用するように言われました。
そらは朝、起きてきません。
起きてこない子に、朝、薬を飲ませることが
どんなに大変か…。
たとえチュアブル錠だとしても…。
「そら…そら…起きて。朝だよ、薬だよ。」
「う…ん…」
「口に入れるよ?」
うっすらと開く口に薬を入れるのでした。
全く反応のない朝もありました。

そらの血圧はどうなっているのか。
本当に血圧が低いのか。
ずっと貧血状態なのか。
私はそれが知りたくて、家庭用血圧計で
①起きてすぐ
②起き上がってリビングに移動してすぐ
③眠っている時
④気分が悪い時
など、条件を変えて1日に数回測りました。

そらの血圧は正常でした。
むしろ、高い時もありました。
こんな血圧で、
さらに血圧をあげる薬を飲ませるの?
そう思うと怖くて、
飲ませることが出来なくなりました。
そらにも説明をして、数回で服用をやめました。

朝起きられなくなって初めての週末。
水泳の大会が県外でありました。
県で8位までの子が出場できるいつもより大きい大会でした。
その大会には起きて行きました。
行きましたが、フラフラでした。
おまけに8月末の残暑が厳しい中、屋外プールでの大会です。
県外ということもあり主人が送迎しましたが、
参加者が多くて主人も会場には入れません。
貧血が起こらないように、ただ祈っていました。
帰ってきたそらは、こんこんと眠り続け、
もちろん、次の日も起きてきませんでした。

やりたい事はどうして起きられるの?
学校は行きたいって言ってるのに、
やりたい事にはならないの?
どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、…

「どうして?」
がどんどん大きくなっていきます。
昨日より今日。
今日より明日。
さっきより、今…。

2019年9月6日
もう一度、
小児科医さんのところに行きました。
そらはその日動けなかったので、
私だけ行きました。
家庭用血圧計で測定した血圧の結果のメモを見せると
「血圧…低くないね。薬やめようか。」
となりました。

そして、
「お母さん、専門の病院に行ってみる?
大阪やからちょっと遠いけど、
行けない距離じゃないと思う。
お母さんが気になってるいろんなことが、
きっと分かると思う。」
「行きます。」
私は即答しました。

「そらの身体に
何が起こっているのか
知りたい。」

起きてこない
起き上がらない
起こしたことも覚えていない
お腹が痛い
頭が痛い
フラフラする
気分が悪い
貧血を起こす
夜遅くまで起きている
ゲームはできる
ずっと寝転んでる
学校に行きたいのに行けない
勉強が頭に入ってこない

こんなにたくさんの「どうして?」
がわかるところがあるなら、
行きたい!!


「うん。紹介状書くね。
その前にいろんな病気の可能性をつぶさないといけないから、
血液検査をしたいんよ。
大変やと思うけど、
なんとかして、そらくんを連れてきてほしい。」

帰宅して、そらに小児科医さんから聞いた話を伝えました。
「大阪に行く。」
そらも即答しました。

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