耕作放棄の危機を超えて
農業の近代化は、日本の農村風景を大きく変えた。さらに、高度経済成長によってもたらされた農村から都市への人口流出は、農村の人口を急激に減少させ、同時に高齢化をもたらした。人口流出の主体は若者であったため、農村には高齢者だけが取り残されたのだ。これに農産物価格の下落も重なったことから、経済的な理由で農業をあきらめる農家や若い労働力を失って農業を続けられなくなった農家が続出した。その結果、耕作されずに荒廃していく耕作放棄地が中山間地を中心に急速に広がった。とくに労働条件が悪く、収量