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人 vol.1

 一回きりのバイトって言うものは私にとって働きやすい。いわゆる、派遣の仕事だ。色々な複雑なことをお互いに背負い合わなくて済むからだ。とてもスッキリしている。昨日いなかった君がわたしの人生に突然現れて、明日はいない。軽いタッチなのに君という存在が重いのが好きだ。お互い気持ちいいまま、明日には全く他人。出会って別れたその日は2人にとって最高の日になる。今だけの私しか知らなくていい。もし、もっと知り合うべき人なら多分また出会う。そう思うのだ。私はそう信じている。だからもっと、愛しい

    • なんにもない

      何も無い灰色の曇り空には 何かがある 誰もいないベンチには 誰かがいる 何も咲いていないただの芝生が カラフルである 私の履いているビーサンはただのビーサンだが ただものではない 私の隣のミミズは死んでいるが すごいやつだったかもしれない

      • 8月11日

         最寄駅から自宅へ帰る。22時半ぐらい。今日は、2回くらい行ったことのある派遣先で働いた。5時間働いた。疲れを突き刺すように目がバキバキと音を立てて開いているのをこめかみから感じた。目がバキバキ開いてしまっているので、身体と心のモチベーションは無理矢理に高かった。いつものようにけっこう早く自転車を漕いだ。自転車は最高である。マスクを顔から外して左手の方にある自転車のベルにぶら下げた。頬で風をたくさん感じた。鼻から息をたくさん吸った。耳からは羊文学の『マヨイガ』が流れていた。シ

        • 断片的な台詞

          可菜子「さっき駐輪場のおじさんが、勤務を終えて帰ろうとして自転車の鍵を外していた。その自転車が、その自転車が!カッコいい白のマウンテンバイクで、わたしは涙が出るほど嬉しかった。」 新田「父さんにつつまれ寝る赤子、その顔。」 キャロル「風が吹いている時、傘持って踊ってみれば空飛べるよ?魔法って軽さと勇気のことだからね」 金太「とにかく水がいっぱい集まってればいいんだよ、汚くても綺麗でも水がいっぱいあって音を立てて流れていたり、そこに緑があったりして、そういう何にも操作され

          やわらかいもの

           「まず紙と向き合うべきだろう。」私はノートの一行目にそう書いていた。自分でもよく分からないけど、そうやって書いていた。ペンを持って紙に何かを書こうとすると、意識して考えていなかったこととか、言葉にしたことがなくて見えなかったこととかが、次々と頭に浮かんで言葉ができていく。ペンと紙が触れ合う時に生まれる言葉がある。もちろん、スマホやパソコンでタイピングするからこそ生まれる言葉もあると思ってる。口から言葉を話すからこそ生まれる言葉もあるって思ってる。その中でも私はペンと紙によっ

          やわらかいもの

          6月1日

           猫か犬に例えると私はどっち?みたいな質問。私は「臆病な猫」と友人に言われた。7年前くらい。友人の選んだ「臆病な猫」という言葉に今でも感心する。それから「臆病な猫」というフレーズで自分を表せることが少し気に入ってその質問になった時は「私は臆病な猫って友人に言われたことあるの」って得意げに言っていた。  相手に言葉で伝えることのできない感情はトイレに1人で篭って紙に描くのが小さい頃のコミュニケーション方法だった。「みはるのきもち」とタイトルを書いて自分の気持ちは怒りが何個で悲

          5月17日

           15日が最後の出勤日だった。悲しさや寂しさは全くなく、「今日が働くの最後なんです。」って色んな人に言うのが楽しみだった。前もっていちごの絵をセブンイレブンで適当に大量に印刷していた。「よかったら私が作ったポストカードもらってください」って微笑むのも楽しみだった。  最後の出勤日は私が多くを学ばせていただいた方とだった。その人は人との繋がりをとても大事にする人で顔が広い。声が大きくて商売上手で何事もポジティブに捉えて無理だと思うことでも自らのプライドにかけてこなしちゃう。結

          5月6日

           学校にはたくさん学生がいるのに誰にも会わなかった。知らない学校みたいだ。駅から学校までは自転車で行った。暑すぎてばてた。学校に着いたら検温をして廊下の席に座ってすぐ2限の授業を受けた。持参のおにぎりを食べた。  3限は対面の授業。前回の授業で終わらなかった部分を授業の前半にやるので毎回授業の内容が先延ばしになっていく。しかしその丁寧さが好きでもある。対面授業の嫌なところは、教室を退出するのが気まずいこと。先生が「今日はここまでです。時間になったので退出して結構です。」と言

          4月29日

           雨のことは嫌いじゃない。予定が家に帰ることだったら積極的に水たまりに入って全身雨に濡れたくなる。  散歩の時にただ雨に濡れるのも心地いい。雨が降ると景色が変わる公園とか、道や公園が静まり返ることとか、植物に雨の粒がたくさんついて恵みが目に見えて美しいとか、土も木も潤っていて嬉しそうとかも心地いい。  でも、雨が主役にならない日は本当に嫌になってしまうことがたくさんある。靴が濡れて靴下がびしょびしょとか、足先がずっと冷たいとか、電車の床が濡れていることとか、傘と一日中一緒

          4月27日

           学校まで自転車で行った。最近レンタル自転車が町田駅に設置された。最高の気持ちになる。みずほ銀行の前の駐輪場から自転車を借りた。自転車のサドルの高さを合わせて返却する場所を学校に設定したらたらさっさと自転車に乗る。  今日は夏っぽい風。一漕ぎ目から笑顔になってしまう。乗ってる時は「自転車最高!」か「自転車大好き!」しか頭が考えられなくなってる。びゅんびゅん下ってガリガリ上ってびゅんびゅん下る。今日は毛皮のマリーズの真っ黄色いTシャツを着ていた。  交差点の信号待ち。4方向

          4月20日

           朝は妹と素早く動いてご飯の支度をした。寝ぼけてると何も考えてないから素早く動ける。  今日の予定は自転車で蔦屋書店に行く予定だった。この前バイトの休憩の時に読んだグリッドの本を読むのと、写真集の構成の調査をしに行きたかった。しかし面談が決まったので行くのをやめた。  午前中は写真集の構成について考えた。ずっとA5の縦で作っていたのに急に横の方がいいんじゃないかと思ってきた。家にある写真集をかき集めた。本棚にあったのは知ってたけど、特に見たことはなかった。母が昔に買った写

          4月19日

           地震で目が覚めた。まだ頭がモヤモヤしてる。意識が気づいて5秒間のうちにこれは起き上がるべきかこのまま寝てていい地震かモヤモヤしてる頭なりに考えてた。目を瞑りながら考えてると思ったら身体が反射的に布団から出て2段ベッドの階段を降りていた。寝ぼけながら自分の部屋に置いてる防災バッグも持って2階のリビングに行った。その時にはもう揺れはおさまっていた。嫌な感じの揺れだった。短い揺れだった。  妹とお母さんとご飯を食べた。そのあとお母さんが夜ご飯の用意をして私がベランダで洗濯を干し

          4月18日

          さむい。  今日は1限から授業。6時20分に家を出た。暖かかったので張り切って薄着で行った。駅まで自転車の時間。公園の中を通って行く。朝の公園は好きだ。テニスの壁打ちしてる人がひとり。バスケコートでシュート打ってる人がひとり。  朝の電車は混んでいる。学校の図書館で借りた福岡伸一「動的平衡」を読もうとした。乗り換えをして本をリュックにしまおうとした時も親指が1ページに挟まっていた。  新宿的に着いて小田急線へ乗り換え。こんなに人がたくさん前から歩いてきていてもひとりひと

          4月17日

           今日は9時30分からバイト。4月中のバイトはこれでおしまい。  1日の終わりにバイト中のことを振り返ってみてもあまり書くことがない。辞めてしまうの悲しいって言われるのは苦手だ。  今日は休憩が2回あった。1回目は蔦屋書店で1時間過ごした。働いてる時は脳みそが超停滞しているので、休み時間はとりあえず脳みその幸福を求めて本屋に行く。だいたいいつも蔦屋書店で過ごす。日曜日は人がたくさんいる。スタバは高いし席も空いてないので本だけ読む。デザインのグリッドの本を2冊読んだ。ここに

          4月16日

          たっぷり寝た。  10時におばあちゃんちに行く約束してたけど、お皿洗いしてゆっくり支度してたら全然過ぎてた。電話して11時に行くって伝えた。リュック背負ってきなさいって言われた。帰りは重いだろうなって思った。豆腐容れる容器と卵のパックを持参。ついでにゼミで作った作品が載ってるパンフレットをリュックに入れた。  お父さんと久しぶりに顔を合わせた。目がなんか違った気がする。今日もお父さんの朝ご飯は私が作った。しかしお父さんの指示通りのものを作った。割り箸が良いって言われたから

          4月15日

           母が妹と私に体調は大丈夫か毎朝毎晩聞いてくる。そういうのってプレゼントみたいだ。相手を感じて嬉しくなる。  結局定期を買いに行く時間はなかった。時間はあったと言ったらあったけど、急ぎたくなかったからやめた。雨も降っていた。駅までジャズを聞きながら歩いた。最近自ら進んでジャズを聞けるようになった。その時聞いてたのはメル・トーメ「New York State of Mind (Live)」。ジャケットが可愛くて聞いてる。重量感のある毛布に包まれるようなベースが心臓にひびく。