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すばらしき世界

昨年末にFBで名前とプロフィール写真も日本人でロンドン在住の方から友達申請が来て軽くプロフィールを確認して承認したのだが、その方から大晦日にかなり長いメッセージが急に届いた。

その分は翻訳機で日本語にされたような文であった。
まずその方の半生が綴られたあとに、
私は真のクリスチャンであるということ。
私は今、末期癌で病院にいて余命が2ヶ月しかなくこのメッセージも病室から書いているということ。
2012年に事故で亡くした夫の相続財産が620万ドルトルコの非居住口座にあるということ。
その620万ドルを私の最期の願いとして少なくとも60%を慈善団体への寄付とより少ない特権のために使用するようにして欲しいと、そして残りの40%はあなたが費やしてもいいということ。

そして最後にあなたがこの願いを受け入れ返信をくれたら私の今現在の病院での写真とその受け渡し方法を教えますという旨が書かれていた。

ああ、これは明らかに怪しく何かの詐欺のやつだとすぐにブロックしようとしたのだが、その文が醸し出す切迫感に、
これが万が一本当だったとしたら、、、という思いがよぎった。
というのも明確な死が目前に迫った人の心理状態は計り知れず、もしかすると闘病の中で精神疾患を患って何らかの妄想や幻聴からくる行動であったりする可能性も0ではなく、またそうではなくてもその方の善意や願いをあまりにも残酷なカタチで拒否してしまうことになるのではないかと、ブロックはせずそのまま放置していたら

翌日、

私のメッセージをご理解いただければ幸いです。
という短いメッセージが届いた。

半日迷った挙句

〇〇様

初めまして、
突然のメッセージに困惑し、お返事遅くなりました。
ご自身が大変な状況である中、あなたの勇気ある行動に敬意を示します。
しかしながら、このような大事な取引をするには
私はあまりに〇〇さんのことを知らなさ過ぎます。
ですので、限りある時間の中でのことではありますが、どなたか迅速にあなたの願いを理解し対応出来る別の方に出会えることを私は望みます。
私にはあなたの願いが現実的に達成されることを祈ることしか出来ません。どうかあなたが安らかに眠れます様に。

と返信した。


数時間後。

病床の写真と共にまたかなりの長文で私の精神はあなたが私のような良い心を持つ良い人だということを知っているので、、、、
どうか私の最期の願いを受け入れて欲しいという旨とその方のgmailのアドレスが書かれていた。

僕自身はここに書かれていることが本当であれ、その方の願いに応えることは出来ないことだけははっきりしていた。

私に願いを託されるより、直接寄付される方が620万ドル全て寄付できるのでそうされた方がいいと思います。
といくつかの寄付先のリンクを貼って返信した。

この後も再度切実なお願いのメッセージが届いたが、これ以上僕に出来ることはなく、
返信はしなかった。

もうすぐ2か月。彼女は安らかに眠れたであろうか。
彼女の願いは誰かに受け入れられたであろうか。
もしくは詐欺だったとしては僕じゃない誰かで成功したであろうか。

どちらにせよ、
自分には信じきる力も騙される力もなかった。


昨日、"すばらしき世界"という映画を観た。
前々から感じていたことだが、自分は適当に生きれてるなと実感すると共に世の中がより良くなればと陰ながら思いながらも、その自分の適当さ(例えばコンビニでチョコレートやコーヒーはじめ、あらゆるものを買う時、これらを作ってる人達は豊かに暮らせるだけ対価を貰えているだろうかということとちゃんと向き合ったりはしていない)が会ったこともない多くの人を生き辛くさせてるんだろうなということも実感としてあったりして今日は少ししんどかった。

gigadylan

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