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休業支援金~国の救済制度の本質~(2)

前回記事では休業手当が支給されない方の為に支援金制度を説明しました。
多用な働き方、労働条件によって、業種、会社規模によって少し異なりますが『シフト制アルバイト』の休業支援金は申請できるのか?

もちろん申請できます。
ただし申請にあたっては色んな弊害があります。


『シフト制アルバイト』の休業支援金の3つ壁

まず労働契約上所定労働日を特定する記載が「シフトによる」という部分に3つの壁が想定されます。
①会社が休業を命じましたことを認めない
②支給要件の追加
③会社の協力

3つの壁①会社が休業を命じましたことを認めない

労働者が申請する資料の中に要件確認書が必要となる。
これには事業主記入欄があり、会社に記入をお願いすることになるが、
労働者自身が記入した場合は不正受給に該当する可能性がある。
(補足:受給する為に偽った記載をして支給された場合、最大3倍の返還)

会社は休業を命じた場合は休業手当を支給しなければならないが、
ここでいう休業とはもちろん所定労働日となります。

シフトが決まっていない所定労働日には休業をめいじていないので
以下図の設問7①は『いいえ』が正しいです。

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ちなみにこの設問って不備が多いですよね。
厚労省のエリートが作った書面ですが、いつ改訂されるのやら。

3つの壁②支給要件の追加

不備の多かったこの制度、2020年10月に以下リーフレットにて後出しルール改正がありました。

画像2

条件付きで会社が休業を認めない『いいえ』でも支給の可能ありとのこと。
その条件とは?

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休業開始月前6か月以上の間月4日以上の勤務がある場合

逆に言えば『過去半年で月3日以下しか働いていない人には給付しない』ということでしょうか?
こういう基準を設けることは必要です。
誰もかれも給付するわけにはいかないですし。

ただ、以下は本当にあった事例が残念ですね。

大学生A
2020年4月~6月の緊急事態宣言の申請
2019年10月~2020年3月で毎月4日以上勤務が必要

2019年10月:13日
2019年11月:14日
2019年12月:11日
2020年01月:10日
2020年02月:02日 ←ここだけ条件を満たしていない
2020年03月:08日(+休業4日)
ーーーーーーーーーーー以下緊急事態宣言で店舗が閉まる
2020年04月:0日
2020年05月:0日
2020年06月:0日

2月は大学の試験期間ということもあり休みを多めにとったとのこと。
なお、大学の試験は自己都合であり、病気等の致し方無い休みとは異なるとのこと。
よって不支給となりました。

3つの壁③会社の協力

上記①②の壁を乗り越えても最後の壁があります。
それは『労働局からの休業についての証拠資料提出』です。

労働局から会社に対して要件確認書欄の内容の根拠資料の依頼が来ます。
具体的には給与明細や出勤台帳。
原則労働者申請であり労働者自身が明細を発行すべきです。
ただ0円の場合は?宣言下1か月丸々休みという方もいますが、
基本的に会社は0円の明細を発行する必要はありません。
労務業務を外注している場合は別途料金が必要となることがあります。

この部分に関しては各都道府県労働局の判断によって対応が異なります。
電話確認のみ、賃金台帳が必須、1枚ものに記入し返送だけで可等。

これらの対応を企業にお願いできるかが最後の壁となります。

壁の先

3つの壁を乗り越え、やっと審査が進みます。
地域や時期にもよるでしょうけど書類に不備がなければ大体1カ月ほどで決定通知書が届きます。

ただ今一度この制度について考えたい。
『支給が続くことで就労意欲の妨げにならないか』
『この支援を受けながら他のバイトをしてても気づかれないよね?』
『国はいつまでこの制度を続けるつもりなのか?』

国の救済制度の本質

休業支援金の財源は皆さんがお支払いしている雇用保険料です。
ですが、この支援金を受給している多くは雇用保険料を支払っていません。
(通常の企業で雇保加入であれば多くの方がが休業手当支給の対象だから)

休業支援金が財源を逼迫することで我々が支払う雇用保険料が増額という事態も考えられる。

最後に

国には本当に必要な方に届く制度とするために以下を検討いただきたい。
・マイナンバーで収入の紐づけを行った上で支援金を支給決定
・受給期間を1年等制限(1年以内にほかのバイトを探してもらう)

長くなりましたが最後まで御覧いただきありがとうございました。

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