感染症診療の考え方 part.2

お久しぶりです。
1週間ぶりの更新になりましたが、読者の皆さん新年度の生活には慣れましたでしょうか?
ある人は初期研修医として前途洋々働き始め、ある人はあと1年を切った国家試験を意識しながら遊んでいるかもしれませんね。

さて、前回までのnoteでは


患者さんの状態を知り、Commonな細菌感染以外の発熱性疾患を除外する


ところまでお話ししました。


復習をここに書く意味はないので、必要であればもう一度前回のnoteを流し読みしていただければ幸いです。


さて、さっそく今日からの話に入りましょう。


③ 感染の標的臓器を探る

ここでもう一度症例の確認です。

68歳男性。B型慢性肝炎があり、肝に単発6cmの腫瘤があったため評価目的に入院した。
既往はウイルス性肝炎以外に糖尿病、高血圧、高脂血症。
内服はテルミサルタン、ロスバスタチン、肝庇護薬で、インスリンの自己注射を行っている。
入院翌日に38.3度の発熱を認め、尿が混濁していることから尿路感染症としてレボフロキサシンを開始された。


仮にここでは②であげた6Dを除外したとしましょう。


では、病気はなんでしょう?本当に尿路感染症でしょうか?


ここでのテーマは感染の標的臓器を探ることですが、これをすることで何が良いかといいますと


標的臓器によって起因菌が推定できること


です。

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