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ババ生地について考えてみた。

フランスパティスリーウィークのテーマが
「サヴァラン」でもあり、
この春は特別に私のレッスンでも
このお菓子を取り上げています。
ベースはpâte à baba(パータババ)と呼ばれる発酵生地。
焼成後にシロップを吸わせるので、
多少ガシガシした焼き上がりでも誤魔化せて(笑)、失敗の少ないお菓子…
だと思っていますが、
それでもNGな事や
ちょっとしたポイントがあります。

それを改めて考えるきっかけとなったのは
とある回のレッスンで
生地が過発酵気味になった事でした。
出来上がりはしっとりふわりで
悪くなかったのですが、
少し時間が経過するとズグズグな食感に😅
当然な事です。
美味しいシロップを受け止める網目構造が
ある意味この生地の「肝」なのですから。

…という事で
手持ちのレシピ数種の比較から
改めて確認作業スタート。
すると鍵になりそうなポイントが
私なりに見えてきました。

その① 【発酵回数】
レシピによって
一次のみと二次までのものがあります。
レッスンでは「一次のみ」を採用。
「時短で家庭でやりやすい」がその理由。
基本的に二次発酵は
生地をよく膨らませるのが主目的。
加えて発酵の旨みもプラスすることができると考えます。
ただこのお菓子の場合香りや旨みは
シロップの美味しさに拠る所も大きいので、
ベースの生地に期待するのは
シロップを受け止めるしっかりした構造かと。
…そんな思いをもって、
普段の生地で比較してみました。

左が一次のみ右がパンチ後二次発酵まで。
右の方が若干膨らみが良い。
内相。見た目殆ど差はない?

発酵回数による大きな差は
家庭レベルで作るには
気にしなくても良さそうです。
ちなみにフランス人のシェフの中には
発酵(fermentation)ではなく
成長(pousse)という言葉を使われる方も。
膨張や旨みに重きを置く必要はない…
という印象を受けます。
ちなみに写真の2種を
同条件でシロップに浸した所、
数時間後の食感は
ほんの少し二次までの方が
しっかりしていたかな…。

その②【混ぜ込むバターの状態】
私がこれまで習ってきた生地は
ポマード状のバターを混ぜ込むものが
大半でしたが、
改めて調べると
溶かしバター派の方が多いのは何故?
この疑問に関しては、
経験豊富なプロの方数名にお尋ねを。
それぞれにメリットがあるようです。
*溶かしバター
  ババ生地は加水が多いので、
  溶かしバターの方が早く馴染ませやすく
  結果としてグルテン形成を阻害しにくく
  こねすぎによる生地の切れを防げる。
*ポマード
  バターという素材が元の状態に近い
  =最高により近いコンディションで
   作ることができる。
  溶かすというワンステップが無いので
  手順として楽。

なるほどなるほど。
どちらの理由にも納得です!

レシピに絶対は無く、
作る人それぞれの立場や好みを反映して
取捨選択すべきと考えますが、
こういう理屈が分かると
自分なりの判断基準ができますね!

家庭で気軽に、かつ美味しく…
を目指す私としては、
今回の検証の範囲では
①過発酵厳禁🚫
②捏ねはしっかりと
③バターはポマード
④発酵は一回で🆗
…という感じに落ち着きそうです。
ってこれ、私の今の方法でした😆

あ、忘れてはならないことがもう一つ。
シロップはケチらず贅沢に。
洋酒はたっぷり、
そしてしっかり吸わせて
しっかりと落とす、です!

さてこちらは「ババ・オ・ロム」
フランス ロレーヌ地方の郷土菓子です。
ぼぼサヴァランと似たような構成ですが、
それぞれに成り立ちや形態が
異なるとされています。
レッスンでは
そんなミニ知識もお伝えしていますが、
この夏は様々なバリエーションの
ババやサヴァランを
日本でも見ることができそうで
私も楽しみです♪
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