2024/1/30 気になるニュース㉖ 中国恒大に香港高裁が清算命令
⭕ かねてから、不動産バブル崩壊で債務超過に陥っており、Xデーはいつになるかと話題になっていた「中国恒大集団」。
2023/8/17、米国で連邦倒産法第15条の適用申請、2024/1/29には、ついに香港高裁がまさかの清算命令を出す事となりました。
簡単にまとめてみました。
① ついに香港高裁が清算命令
⭕ 恒大集団は、中国の不動産大手で2兆3882億元(約48兆円)の負債総額を抱えており、経営再建は不可能であると「やっと」宣告されました。
問題は香港高等法院の判決を中国本土の裁判所が受け入れ、不良債権処理を遂行してくれるかどうか。債権者への資産分配はほとんど期待出来ないと考えるが、中国本土の対応を世界の投資家が注目している。
中国当局がゾンビ企業の放置により問題を先送りにした事で、投資家や企業の信用は大きく落ち込み、資金流出、中国経済へ致命的な傷を負う事となったようです。
⭕ また、日本の株価が上昇している一部の要因には、中国に嫌気が差して逃げてきた資金流入も大いにあるといえます。
② 中国恒大集団とは?
⭕ 中国大手の不動産会社で英語では「エバーグランデ」と呼ばれています。どんな会社を簡単にまとめてみました。
2009年
香港証券取引所に「中国恒大」として上場。会社の時価総額は72億200万ドルまで上昇した。恒大集団の事業手法は、中国都市部の不動産価格急騰を背景に、自社の株式や不動産を担保にした多額の借入金と投資家からの資金を元に土地を素早く取得することで、購入した不動産価格の値上がりによってバランスシート上の資産額を増大させ、加えて開発による売却益により収益力が増大することで、会社の時価総額を大きくさせることで信用を勝ち取ることにあった。
2020年9月
中国当局(中国人民銀行)が不動産市況のバブル抑制と、それに伴う不動産会社の財務改善を念頭に、資産に対する負債の比率が高い企業に対して金融機関などによる融資を制限する動きが出たことを受け、恒大集団が債務不履行に陥る可能性があると報道された。恒大は財務の健全化に向けて土地の在庫を3分の2まで減らすと発表し、2020年9月7日より1カ月間、すべての物件を3割引で販売した。
2021年6月
6月末基準で恒大集団の負債は1兆9700億元(およそ35兆6147億円)に対し自己資本は4110億元(およそ7兆4302億円)にとどまっている。
2021年12月
ドル建て社債の利払いが不履行(デフォルト)
2022年1月
香港取引所で株式取引停止
2023年7月
開示を延期していた2021年と2022年の通期決算を発表。保有する不動産や金融資産の減損により、2年間の純損失は単純合計で8120億3000万元(約15兆7021億円)、債務超過の額は 2022年末時点で5991億元(約11兆5847億円)。
2023年8月
17日、連邦倒産法第15条の適用をNY連邦破産裁判所に申請した。
(チャプター15は、外国企業がアメリカ以外の国で再建を進める期間において、アメリカの債権者による訴訟から保護され、資産を保護するものとなります。)
2024年1月
29日、香港高等法院は恒大集団に対し清算命令を出した。
③ まとめ
⭕ 中国恒大集団が大きく取りざたされているが、これは氷山の一角であり、中国全土の不動産関連不良債権は、合計で「3000兆円」という情報もあります。
⭕ 中国のGDP(国内総生産)の30%を不動産が占めているとされています。この状況では銀行が不動産企業への貸し渋りをするのは目に見えており、経済活動への打撃はとてつもなく大きく、通常であればマイナス成長もあり得る状況ですが、直近のGDP成長率は前期比で+1.0%、年率で+5.2%と目を疑うような数値を発表しています。
旧ソ連の崩壊時にはGDPを2倍に盛っていたといわれています。数値が出鱈目では適切な政策を取ることが出来ません。中国共産党の迷走はしばらく続きそうです。
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