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19/174頁の力 オン・ザ・プラネット 島口大樹

だから子供は嫌いだよ。
カテジナ・ルースとクェス・パラヤの台詞が混ざっている。僕はこの言葉が20年以上耳から離れず、ふとした瞬間に頭の中で響く事がある。子供は苦手、いやほぼ嫌いに等しいけれど、だからと言ってそれを表に出すことは無いしきちんと子供への対応と保護者への【お子さん可愛いですね。】のアピールはきちんと出来る。

察しのいい奴だなこいつ。
島口大樹著 【オン・ザ・プラネット】 を19ページ程読んで浮かんだ一言の感想がこれ。
よく浮かんでくる台詞と語呂感が何処か通ずる物があって、自分の思考回路が弾き出した事の証明が確かにあった。

鳥取砂丘へ向かう車中、変化の少ない状況と会話で、語り手であるヨシヒロが自問自答と世界に対する疑問と他者に対する認識の再確認を繰り返し行なっているのを見て、察しという言葉が持つ意味とは別なのだろうけれど、(正しくは忙しい奴、か?)ただとにかく言葉が浮かんでしまった。

そもそも人はこういった状況でここまで深く思考はしないだろうし、もっと表層的な部分で会話を成立させて他者とコミュニケーションを取るのではないか?と現実的に考えてみるものの、小説を全く読まない自分からしたら、文体でお話を進めるのは、これが常套手段なのだろうか?と自分の無知と思考回路と向き合う事が出来た19ページだ。

ただ僕もヨシヒロと同じような思考に陥る?事はあって、ただそれは同じような状況下ではなく、仕事に黙々と打ち込んでいる時やタバコを吸っているほんの数分。いずれも一人きりの時に多い。僕の現実と作品のフィクションの中の現実が境界を跨いで曖昧に跨いでいる部分があるからこそ、僕は今こうして書き物をしている。久しぶりに脳みそがパチパチと光って働いている気分に浸っている。

19/174ページでここまで忙しさを与えてくれたオン・ザ・プラネット、一気に読んでしまおうかどうか悩んでいる。1番大きなサイズで頼んだアイスコーヒーを飲み切ってしまいそう。

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