怖い話をいっぱい読んでみて、自分にも書けるんじゃないかと思った

 禍話という、怪談シリーズが存在します。正直田中(筆者の一人称です)はあまり詳しくなく、ストリーマーの方が蒐集した怪談を語る、くらいの認識なのですが。その禍話を文章に書き起こし、地の文などを加えて小説のようにしたものを禍話リライトと言います。noteにも沢山の禍話リライトが投稿されており、ほどよい長さで面白いため、田中も手すきの時間に読み漁っていたのですが、ふと「自分にも怖い話作れないかな」という気持ちが湧いてきました。ということで、書いてみたいと思います。

 何事にも定石、テンプレというものは存在しますよね。その物事に精通している人は定石からあえて外す、ということもできますが、初心者はまず定石通りにしてみるのがよいかなと思っています。そこで、怖い話の定石を少し考えてみたいと思います。

①書き出し
 起承転結の起こりにあたるイントロダクションです。その話がいつの話で、どこで起こっていて、誰が、何故体験することになったのかをここで説明することが多いかなと思います。例えばその怖い話が、肝試しの結果として怪異と遭遇するようなものであれば、肝試しの舞台となる場所にどのような謂れがあるのか、何故誰がそこに行くことになったのか、というような感じで。

②怪異との遭遇、恐怖体験  
 起承転結の承と転にあたる本筋となる部分です。先程の例の続きとして言うならば、肝試しに実際に行き、怪異と遭遇。その結果恐怖体験をする、というところまでがこの部分にあたります。
 禍話リライトを読み漁り、個人的にこの部分に1つ共通するところがあるなと思ったことがあります。それは、“キラーフレーズ”の存在です。例を挙げてみましょう。noteに投稿されている禍話リライトの中で最もスキされている「もうどうでもよくなった家」から引用してみます。

「なんでだよ!全部嘘なんじゃないのかよ!元々全部嘘の設定でここはただのハウススタジオなんじゃないのかよ!AVとか撮ってる!作り話なんじゃなかったのかよ!」
と誰に言うでもなく言うしかなかった。すると、

「もうそんなことはどうでもよくなっているんですよ(笑)」

という声がした。

禍話「もうどうでもよくなった家」より

 怪異と遭遇し、恐怖が最高潮になったときに、怪異からや、理解してはいけないことを理解してしまった人などから、トドメとして放たれる一言。これを便宜上“キラーフレーズ”とさせていただきます。たいていこの後パニックになって逃げ出したり、気絶してしまったりするパターンが多いように感じます。後日その怪異について知る人から意味深に放たれるような場合もあります。
 個人的に、この“キラーフレーズ”の質が怖い話の質と直結すると言っても過言ではないほど、大切な部分であると思います。

③後日談
 怪異と遭遇してしまった人に残った後遺症などを描写します。たいていは語り手となる人物は怪異と遭遇していても、なんとか平穏な日々を取り戻せていることが多いですが、怪異に目を付けられてしまったり、間違った対処をしてしまった人には多かれ少なかれ後遺症が残り、まともな生活を送れなくなっている(例:まともな食事をとる事ができなくなってしまい痩せ細って衰弱してしまうなど)ことが多いです。後遺症に耐えきれず自殺してしまうこともあります。
 行方不明になったあと、変わり果てた姿で後日目撃されたりする、というパターン(例:肝試しの後に大学に来なくなってしまった同級生が、浮浪者同然の身なりで大学の周りを意味不明なことを言いながら歩いている姿が目撃されるなど)も結構見るかなという所感です。
 ただ、大抵酷い目に合うのはそれ相応の行いをしている人が多いです。善良な人物が怖い目に逢うだけに飽き足らず、その後も怪異に苦しめられ続けるのは可哀想だ、と感じる人もいますでしょうし、そういった感情は恐怖に対してノイズになってしまうかもしれません。何も悪いことをしていない人物が酷い目に遭う、というのは「嫌な話」としてのポイントは高くはなりますが。
 話が脱線しましたが、怪異と遭遇して酷い目に遭う人物のヘイトコントロールは、話の怖さには関わりませんが重要な部分かもしれないと思います。なので、酷い目に遭う対象を、後輩を無理やり肝試しに誘ったりする強引な先輩(女遊びが激しいなど、悪い噂もある)や、怖いもの知らずのヤンキーなどにすることで、「こいつらは酷い目に遭って当然の人物なのだ」と読み手に納得させるような話作りを意識してもいいのかもしれません。とはいえ、そこを意識しすぎて「スカッとする話」のようになってしまうのも本末転倒と言えますが。
 また、怪異がまだ存在しており、その恐怖はまだ終わっていないという匂わせがされることも多いです。これを描写しておくことで、読者に「次にこの怪異と遭遇してしまうのは自分かもしれない」と思わせ、更なる恐怖を味合わせることができるのかな、と思います。逆に、怪異とは関係ない後日談を書き、ユーモラスに終わらせるパターン(例:一緒に肝試しに行った人の新たな一面を見て付き合うことになった)もたまに見ます。

 前置きが長くなってしまいましたが、怖い話の定石を自分なりに分析してみたところで、この定石を元に怖い話を書いてみようと思います。恐らくこの次に書かれる記事がその怖い話になると思われます。もし投稿されなかった場合は、そのときは田中も、あの先輩のように連れて行ってしまっているのかもしれません…。(怖い話の後日談っぽく〆ました)


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