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という処方せん

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処方せん、という  ストリートに生きる 愛と悪意にも似た  a face love fact.
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綿帽子

流れていく山からの雨
届く海

手を伸ばした あの子の性別が
個性だった気がした

秋雲の日

僕らは 離れ離れの時を
過ごしているようで

安心のない時間の中で

空が言霊に還る時
言葉を持たない空が

語る石の姿が

遠く飛ぶ鳥で気付く
あの子の無事に

今日も 足を前に進めたい
気持ちに自分を確かめる

ための
愛が何処にあるのか
探しに出る

question &answer

ウェイターの右胸の空白は
レジスターに立つ椅子に優しい

その椅子に座る右ポケットの50セントに
手を付ける時
あの改札の入り口で ベルを打つ

consent

類いという質量にひふされた
誠意という引力

あからさまに訪れる現代の病い
コードというラインに導かれた雑念
その不躾なる躾の風の強さが
確実に与えられた吃音の口角に

staccato

鳥の巣立ちに声が届く時
その歌声を聴きに来た老女

時折、キッチンの窓から
返す向こうを見るだろう

玄関に置いたベルに
あの主人の顔を思い浮かべる

morni'ng

paradox

光の乱れた 濡れた爪の先に
かかる身柄に事実の前と窓が
車窓に届く風に乗せた音も
同時に起こるとされたその瞬間に

立つこと

神秘は捨てた
   拭いきれない 意識する記憶の

数々は現象とともに

 思い出のダストボックスに
  しまうんだ

整理された動かない本棚と一緒で

 それは あの雰囲気すら体に残る
    現象として

あるべき自身を知ったんだ
 私は生まれたんだ
だから 本棚に    言おう

   愛されようなんて
思うんじゃないと

the pen

spot に
     落とす

鉛の音

   速度走る指先が灯す未来

 描かれた虚空の
  現実の姿が

現実である 社会の事実に

 描くことを 止めないことの真実に
見えない前置きの色と柄がそれを呼ぶ