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社畜が骨折したら、引きこもりになった件。④

目覚まし時計のスヌーズ機能を駆使して、どうにかベッドから起き上がるが、カーテンの隙間の暗さにやる気を失った、事故当日の朝4時。寝起きが非常に悪いため、のろのろと着替えや準備を終えるころには、家を出る時間までそれほどなくなっていた。それでも、ご飯を食べなければ、空腹と寒さで間違いなく倒れてしまう。
今日は、いつもと全く異なる屋外での作業なのだ。

・・・・・・小説にすれば少しは特別感が生まれるかなぁ、と期待して書いてみましたが、全くないですね。前回お話した夜勤明けだったり、5勤目だったりすれば辛さが倍増したかもしれませんが、事故の前日はお休みで、体調は眠気を除けば、それほど悪くありませんでした。

つまり、何の前触れもなくて事故に襲われた、ということです。原因が壁に激突したことによる骨折なので、不注意、見落としを疑われましたが、恐ろしいことに事故のショックで記憶を失ってしまいました。後日、仲間や上司から何度も同じ質問を受けましたが、事故の前後1分程度は、本当に空白しかないのです。

誰かの呼び声に気づいたときには、なぜか、自分は地面とお友達になっていました。なので、最初、単に転んだのだろうと判断されたようですが、あいまいな供述と現場検証から、目の前にある壁に激突したらしいとなりました。ただ、当時は、私も転んだだけと思い込んでいたうえに、それほど痛みがなかったため、少し遅めの反応で立ち上がるとその場から移動しました。それから数分~十数分は言われるままに作業を継続していたと思います。

ですが、気力でどうにかできたのも、貧血のような立ちくらみと、猛烈な吐き気が私を襲うまででした。吐き気をこらえながら、作業からの離脱許可を取り、職場の上司に事情を説明すると休憩室に腰を下ろしたのです。すると、直属の上司から病院へいくように促されましたが、私は、この時点では酷い打撲、最悪でも脱臼と考えていたので、少し安静にさせて欲しいと願いでただけで流してしまいました。

今思い返すと、その時間は自分を窮地に追い込むルートそのものでした。時間が経つにつれて痛みが増してくる辛さをこらえながら、心配そうに声をかけてくれる仲間に対して口に出さないだけで、うざったいとか、静かにしてとか、悪いことばかり考えていたのです。それから1時間後、自分では決断できないまま、上司からの命令という形で、職場の近くにある整形外科へ行くことになりました。

その結果、”左上腕骨大結節(肩関節)の骨折”となるわけですが、症状については十人十色なのでさておき、事故当日の診察において覚えておきたい3つのことをお伝えしますね。

  1. 職場での事故は労災として処理するか、自前の健康保険で処理するか支払までに選択しなければならない。ただし、労災の場合、労災の申請が終了するまでは、診療料が全額100%自費負担となる。

  2. 診断書は後の証明書になるので、会社に提出する場合コピーをもらっておくこと。自宅療養が必要な場合、必要な日数の記載を必ず忘れないこと。

  3. 骨折直後はレントゲンに写らない場合があり、判断が難しいらしい。ただし、吐き気(ショック症状ともいう)や、患部のひねり運動(手のひらを翻す、関節を後ろに向けるなど)に著しい痛み、もしくは出来ない、動きに不自然さはなくても内出血が酷い、または痛みが時間経過とともに酷くなってきている場合は骨折の可能性が高いため、CT検査やMRI検査、もしくは翌日に再診したほうが無難と言われました。

そして最後に。
肩関節に限らず骨折は、新しい骨が元からある骨と癒着するまで患部を固定しますが、他は鎮痛剤で痛みを散らすぐらいしか対処法がありません。ですが、ここで無理をして動かし、骨がずれた形で癒着してしまうと、骨にささくれができ神経を傷つけたり、圧迫したりするため、症状によっては手術が必要になります。骨折だけでも辛いのに、自業自得で手術になったらそれこそ泣きっ面に蜂ですので気をつけてくださいね、と自分に言い聞かせつつ、次回につづく。

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