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社畜が骨折したら、引きこもりになった件。⑨~受傷6日目、再診したら、人の優しさと厳しさを同時に味わいました~

再診。
骨折は全治一週間では絶対に治りません。でも、骨と骨が通常の位置からズレて癒着してしまうと手術になるので、ズレの早期発見と他に負傷していないかの確認になります。なので、診察の内容はシンプル。レントゲンを撮って問診するだけです。しかも、内出血もまだ残っているので患部に不必要に触れない念の入れよう。診断は「きれいに折れて、ズレもない。ただ、新しい骨が欠片ないのが、ちょっと心配かな」という懸念と、2週間後の再診を約束して、あっさりと終了。

うん。本当にあっさり過ぎますね。
ギプスで固定していれば外したりなんなりするそうですが、肩関節にギプスは良くないらしい。正直、未だに納得できていませんが、ギプスをすると固定されて楽になるものの、外してから先、リハビリが数倍に伸びてしまうそうです。事実、ギプスをしなかった私でさえ、受傷から3ヶ月を越えてもリハビリが欠かせないのだから、想像しただけで恐ろしい。上肢でも腕の骨や細かな配慮が必要な手首、自重がかかる下肢はギプスが必須らしいので、しなくて済んだことに感謝するしかありませんね。

で、通院に何の問題があるのかというと、病院までの往復時間の長さと、それを三角巾をつりながら耐えなければならない実情でしょうか。現在進行形で通院している病院は、職場から徒歩圏内にあります。会社帰り、その前にであれば通いやすいけど、自宅からは1時間ちょっとかかります。しかも、混雑で知られている路線上なので、朝早くや夕方過ぎに通うことはできません。私が肩の骨を動かないように努力したところで、他の乗客から押されたり、転ばされたりしたら、一巻の終わりです。

なので、通勤ラッシュを避けて移動しているのですが、片方の袖がぶらぶらしているダウンジャケットから包帯が垣間見えると、どうしても目立つようで、何もしなくても席を譲られたり、何か手伝いましょうかと、お声をかけてくださる方がいます。時折、その人の方が身体の動きがぎこちなかったり、顔色が悪かったりするのですが・・・・・・ 助けたくなる気持ちも理解できます。なぜなら、誰かに親切にしてもらうと、自分も誰かに親切にしたくなるからです。それに、大変な状況に陥っているのが自分だったらと想像してしまうと、何もせずにはいられないのです。

したことないな、する気がないなという方も、面倒くさいとか、眠いとか、座ってしたいことがあるとか理由はいろいろあると思いますが、一度、腰をあげてみるといいですよ。たぶん、視野が広がります。何気ない日常の大切さを改めて感じるでしょう。

一方で、強い口調なのは十分承知の上で言いますが、エスカレーターで駆け上がるのは基本、違反です。立ち止まる人は関東で左側、関西で右側というルールはあくまでローカルルールで、原則は真ん中に立ち止まるです。⑦話でお伝えしたサービス介助士の話で、エスカレーターでの恐怖体験として、左に麻痺があると手すりにつかまりにくい、というものがありました。まさに、私が通院中に経験したことで、それほど高低差がないエスカレーターでも、三角巾が取れるまで神経を張り巡らせていた記憶があります。

しかし、相手の立場を慮らない急いでいる方、歩くスピードが速い方は「なぜ左側に寄らないんだ?!」と焦り、憤るのを止めようとしません。無言で強引にすり抜けようとした方に対して、どうにか体幹でバランスをとることはできたものの、ちょっとした事件です。考えてみてください。ぶつかったことで相手にケガを負わせてしまったら・・・・・・、それこそ犯罪になってしまいますよ? ただ、ローカルルールとして確立しているため、絶対にするなとは言いません。前に人が立っていら、自分も歩くのを止め、静かに立ち止まる。これぐらいの配慮をお願いいたします。

私は自衛として、二次被害を避けるために転院を考えたことがあります。特に、受傷1ヶ月を越えたあたりで本気で考えました。電子カルテや画像の移管、症状によっては転院先を紹介することに慣れている病院であれば、難しくない話です。それでも専任の理学療法士の先生との付き合いを止める勇気はありませんでした。痛みの感じ方は人それぞれで、伝え方がうまくいかない時の揉み返しは酷い倦怠感になって返ってきます。症状の説明が苦手な私は、表情や反応から察してくださる先生がいなければリハビリが嫌いになりかねないので、復職後も継続して同じ先生にお願いする予定です。

リハビリ風景については後日お話するとして、通院の帰りでの話。最寄り駅に着いたのは14時近く。昼食をとってから帰ろうとして、一瞬、躊躇しました。右手はさておき、左手が使えないまま外食が可能なのかと。でも、家で食事ができているのだから、焦らなければできるはずと和食屋さんに入りました。注文したのはミックスフライ定食。家で揚げ物が食べられないので、急に食べたくなる食べ物のひとつですが、注文してすぐ、ゆったりとした動作でダウンジャケットを脱ぐと、周りから視線が少し感じられます。

仕方ないとはいえ、ちょっと疲れます。この時は空腹が勝ちましたが、状況によっては気持ちがささくれますので、不躾に見たり、指を指したりするのは止めてほしいところです。という前提はさておき、食事自体はすんなりと済ませました。三角巾で可動域が制限されている左手がしたことは、味噌椀を口につけたり、お茶碗をある一定の高さで保持するぐらいなので、手首やヒジを負傷していなければ大丈夫だと思います。持ち上げることも難しい場合は、ごはんはお箸のテクニックを駆使、味噌汁は右手で口につければ、どうにかなるかと信じたいです。

お腹がいっぱいになったら、夕食の食材の買い出しで終了のはずが、本屋に足を運んでいました。どんなジャンルがスキというより、本そのものがスキ、電子より圧倒的に紙の本がスキです。なので、本屋の周回は何かの発売日に関係なく日課のようなものでした。どこを見るというより、全部見るために、ゆっくりと店内を巡りました。

そうして立ち止まったのが、とある本。
この出会いが、引きこもりという新生活を楽しむための第一歩。自分のしたいことをしたいだけ、誰かに邪魔されることなく満喫するためのプロローグでした。

というわけで、次回以降、私の宝物が増えていく予定です。つづく

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