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中学での上映会 片隅にいる小さな自分

ドキュメンタリー映画『ぼくが性別「ゼロ」に戻るとき 〜空と木の実の9年間〜』を作ったとき、特に観てもらいたいと思ったのは、中学生・高校生です。そもそも「性別に揺れている子どもたちが学校という現場で辛い思いをしている」ことを知ったことがきっかけで取材を始めたという理由もありますが、まだ偏見や思い込みが身についていない子どもたちのあいだで、性のあり方が千差万別だということが当たり前になれば、これからの社会がぐんと変わっていくと思うからです。

だから中学校と高校での上映は無償にしよう!と思いつきました。

昨年11月には、岐阜にある高校で1160名もの全校生徒が観てくれました。「クラスの生徒やPTAの方々が真剣に鑑賞している姿を見ていただきたかったです。中には涙ぐんでいる生徒もいました。 今回の上映で生徒、職員ともにLGBTを身近に感じるとともに人生を考える良い機会となったと思います。」との感想をいただき、 心からうれしくなりました。そして「私も主人公を同じです」と書かれた感想文もあったとか。もしこの映画を観ることで、少しでも心が軽くなった生徒さんがいらっしゃったなら光栄の極みです。

そして、今月末、愛媛県の西条市立丹原東中学校で、200人の生徒さんに観ていただけることになりました。

「学校の授業だけでは知ることのできない、当事者や周囲の人々の胸の内に触れることで、誰にも言えず悩みを抱えているかもしれない生徒の救いとなったり、今まで学んできたものをより深める手助けになったりするのではないかと考えています。」と申し込んでくれた先生からお便りをいただきました。

私からも生徒さんたちに直接メッセージを届けたいと思い、こんな手紙を書きました。

「ひとりひとりがみんな違う。

違っていても自分を好きでいてほしいし、

違うことをわかり合って、

みんなが楽しく学校生活を送れればいいなと願っています。」

手紙を書きながら、ああ、私は辛かった中学校時代の自分に手紙を書いているんだなあと感じて涙が出てきてしまいました。私も中学校のとき、周りとなじめず、辛かったころのことが思い出されたのです。

大人になった私ができる、ほんの小さなことではありますが、自分のようなたくさんの子どもたちが元気になってくれればうれしい。そのために思いを発信していくことの大切さを感じますし、自分のできる範囲でがんばっていこうと思いを新たにしたのです。


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