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「生きるぼくら」原田マハ

ひどいいじめにあった人生(じんせい)が長い間ひきこもりになり
そんな息子との2人暮らしに疲れてしまったのかある日母が突然いなくなってしまう。何通かの年賀状を置いて。
その年賀状の中に、別れた夫の母、人生にとってのおばあちゃんからの物があった。「私は余命数ヶ月。元気にしている?」と書いてあった。
大好きだったおばあちゃんに会いに、人生は家を出た・・・

というお話。
舞台は長野県蓼科。東山魁夷の絵が表紙になっているのだが
それがまた素敵。
頼りない男子、同じような境遇の気の強い女子
今は亡き2人の父、頑張りすぎて疲れちゃった母(表だっては登場しない)
彼らが大好きなおばあちゃん(認知症)、
田舎であれこれとりしきる頼りがいのある中年のおばさん
頼りがいのある職場の上司、でも自分の家庭内のことでは悩んでいる
文句を言いながらもいざとなったら助けてくれる村の人たち

この人たちが認知症が始まったおばあちゃんを中心に
お米を作りながら少しずつ前にすすんでいく、というお話。
原田マハさんのお話は、それはもう安心して読める全て大団円小説。
ちょっと物足りなさもあるし「そうなるよね」ばっかりなんだけれど
確実に美味しい物を食べたい時はどうぞ!という感じの本だ。

ところで、この舞台、登場人物を読みながら考えた。
どこかで会ったことがある人たちばかりだ。どこだっけ?
まあ「ありがちな」話だからあちこちで見かけるとは言え
頭の中でBGMも流れてくるぐらい。
そう、それは「ジブリの世界」です。

この小説をドラマ化したとしてキャスティングを考えた。

亡き父として登場するお父さん新多(あらた)役
最初の結婚では自分の仕事が上手くいかなくなり家族に迷惑をかけてはいけないと思い家をでました。
結果、息子・人生に何も言わずに去ることになり、人生には
大変寂しい思いをさせてしまったふがいない父です。
「となりのトトロより五月とメイちゃんのお父さんです」

人生の母。引きこもりの成人息子と2人暮らし、いつまで経っても
部屋から出てこない息子。いつまで経っても上向かない経済状況。
もう疲れて疲れて疲れはてました。ちょっと家をでます・・・の
お母さん役。
「思い出のマーニーよりアンナちゃんのお母さんです」

人生と同じような境遇。父・新多は母の再婚相手なので
私と血はつながっていませんが、とても幸せな家族でした。
父が病気で亡くなりその知らせを受けて慌てて出かけた母も
交通事故で亡くなり突然天涯孤独の身に。そんな中、父方の
ばあちゃん、この人とも血はつながっていないけれど
私が大好きなおばあちゃんなので会いにきました。
気の強い、でもとっても寂しがり屋の女の子つぼみ役
「思い出のマーニーよりアンナちゃんです」

奥蓼科の町で「飯屋」をやっているおかみさん役(名前失念)
困っている人は放っておけない。頼りになる母ちゃんです。
「崖の上のぽにょよりソウスケのお母さんリサさんです」

人生もつぼみも大好きなばあちゃん、まあさ役
認知症が始まってしまって
困ることもあるけれど、お米の作り方は忘れません。
お米を作っている時が幸せです。
「となりのトトロより、かんたのばあちゃんです」

さて、主人公の人生。
いじめにあって、就職もうまくいかなくて心を閉ざした青年。
スマホなしでは生きていけず、わけあって梅干しおにぎりを食べられなくなった。
この人のキャスティングが浮かばない。
なぜならジブリに出てくる男子はみーーんな好青年だからだ。
やんちゃだけど女の子とお年寄りに優しい。
人生は優しいけれどやんちゃではないし芯がない。
ジブリの映画を全てみているわけではないので思い当たらないだけかも
しれないけれど誰かいるかなー。
心に傷をもつ不器用な男子。千と千尋のハクとか?いや
ハクは十分に好青年だしなーー。

というわけで、ジブリの世界でキャストしてみるのも楽しいということが
判明しました。


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