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掬う、救われた⑤

やっと町田そのこさんの「星を掬う」が登場です✨
本の帯には「すれ違う母と娘の物語」と書いてありました。
主人公は子供の頃母親に捨てられ、そのことに寄りかかりながら
人生を歩んできた女性です。選んだ夫は最悪、仕事も容姿も何もかも「母親に捨てられたのでこうなってます」と名札して歩いているかのよう。

私はこの本を読み始めた時長男のことは忘れていて、ただ読みやすくて
さくさくと読んでいました。でも途中でこの30歳の主人公が
いつまでも「母親に捨てられた」ことを言うので「これっていつまで言うわけ?」と思いながら読んでいたら、主人公も登場人物に同じようなことを言われたのです。
「いつまでそうやって生きていくの?」と。
「それは確かに不幸なことだったかもしれないけれど、それを言っていいのは未成年までだろう。成人したらその先の人生は自分の責任だろう」と。

いやーー。こんなに私が求めていた答えをピンポイントで言ってくれる
本に、しかもタイムリーに出会えることなんてあるのでしょうか!と
思わず姿勢を正してしまいました。

私が「もう長男は成人だ。充分やった。もういいよね?」と思っていたら
この本に「いいと思うよ」って言われた気持ちになったのです。
本の最後は「・・・・・そういう方向もやっぱりあるよね・・」という
ちょっと不安になる要素もあったのですが、とりあえずそこは見なかったことにして、もう長男に対して負い目を感じることはやめました。
私たちが親じゃなければもっと幸せだったかもしれないな、なんて
あり得もしないことも考えないで、私たちは私たちにできることを必死でやってきた。と思うことにしました。

この先の人生は彼が選んで行けばいいし、その人間性をいつまでも親のせいにするなら笑われるのは彼だし、人のせいにしても食べていくことはできないから自分で働いて生きていかないといけないし、それが最低限できるようにはしてきたつもり!と思っています。

人に向かって「もうその辺でいいんじゃない?」って言うのって難しいです。
年上の知人が30過ぎの息子のことをいつまでも悩んでいたことがあって、会うたびに落ち込んだり怒ったりしていて、私が小学生の子供の相談話をすると、その知人は「うちの息子もさ」って同じように会話をしてきたことがあって「え?そっちはもうよくね?」と思ってたことがありました。
私の話だけ聞いて欲しいただのワガママなのか?と思ったもやもやは
「30過ぎの息子のことを悩む母」に対しての違和感だったのか、と今になって腑に落ちました。
いつまでも子育ては終わらないし、子育ての仕方が正しかったか正しくなかったかなんていつになっても答えはわからない、って言われてきたけれど子育ては子供が成人になったら終わり、でいいんじゃないかなーと思いました。

町田さんの本に出会たことや、本ってやっぱり答えが見つかることあるよね!という感動した「星を掬う」のお話でした。


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