(チラ裏レビュー) 天国大魔境 / 石黒正数 (漫画 2018年〜)
※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。
作品名:天国大魔境 / 石黒正数 (漫画 2018年〜)
リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/B07PZFD181
評価:★4(★★★★☆)
月刊アフタヌーンに2018年から連載中。著者は石黒正数。単行本は2024年2月現在、既刊10巻。
壁に囲まれた施設で外の世界を知らずに育つ子供たち。廃墟となった日本を旅する少年(マル)と少女(キルコ)。二つの物語が同時進行で語られるというストーリー。
2023年4月、アニメ化されたのをきっかけに知った作品。アニメが面白かったので単行本を当時刊行済みの第9巻まで購入して読んで、先日発売された第10巻も発売日に購入した。
この作品の一番の醍醐味は、本作の最大のトリックに気づく瞬間だと思う。その”トリック”に気づくタイミングはたぶん人によって様々。勘の良い人は4巻で気づくのだろうが、勘の悪い私は8巻でやっと気づいた笑。とにかく、その”トリック”に気づいてから読み返すと色々な発見があるので読み返しても楽しい。今回10巻を購入した際もまた1巻から読み直したがいろいろ新しい事に気づいたし、まだ分からない事もたくさんある。連載を追いかけながら楽しみたいと思う。
背景の作画は緻密だが、キャラには絶妙に漫画らしいデフォルメが利いていてかわいい。ストーリーは基本的にシリアス路線だが、そこに不釣り合いな軽いギャグがデフォルメタッチのキャラデザと相まって緊張感を緩和する。藤子・F・不二雄のSF作品を想起させる作風だが、これには良し悪しの両面がある。
本作をミステリーとして読む場合にはキャラの内面とか設定の破綻した部分を気にせずに読めるので良いと思うし、作者にとってはそういった部分を手抜きして楽しく描くためのエクスキューズとして作用している。ただし、本作を物語として読む場合はシリアスな問題をギャグでお茶を濁されると消化不良に感じる。
私としては、最近後者の感想が強くなってきた。これだけの設定を作り上げたのだから、今後の展開が単なる”ミステリーの答え合わせ”で終わってしまうとしたら勿体無い。もうちょっと重みが欲しいかな…。今からでもちょっとギャグの度合いを減らして後半シリアス度を増していって欲しい。ドラゴンボールが”Z”になったみたいに。それはちょっと違うか笑。
ちなみに最近「古事記」(の解説本)を読んで気づいたのだが、「あめのぬぼこ」と「ヒルコ」は古事記から持ってきた設定だ。
・あめのぬぼこ(天の沼矛):イザナキ・イザナミが天の浮橋に立って海に天の沼矛を突き立て、海水をかき回して引き上げた時に矛の先から潮が滴って「オノゴロ島」ができた。イザナキ・イザナミはこの島を拠点にして子供(日本列島)を作っていく。
・ヒルコ:イザナキ・イザナミが最初に作った子供(島)は「ヒルコ」といって育たないので葦の小舟に載せて流し捨てた、という一説があり、ここからとった名称と思われる。古事記の解説本には、ヒルコの漢字は「日る子(日神の子)」「蛭児(ヒルのような児)」の二説があるとされていたが、本作では良い意味、悪い意味のどちらで名付けられたのだろう?語感からどうしても不気味で悪い意味にとらえていたが、はたしてどうか。
本作で”大災害”が発生するのは2024年11月11日なのだが、現在の単行本の刊行ペースでいくとちょうどそれくらいの時期に11巻が発売されそうだ。狙ってるのかな?
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