(チラ裏レビュー) 恥さらし〜北海道警 悪徳刑事の告白/稲葉圭昭 (ノンフィクション 2011年)

※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。

作品名:恥さらし〜北海道警 悪徳刑事の告白/稲葉圭昭 (ノンフィクション 2011年)
評価:★4(★★★★☆)
リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/4062172690

 2002年に発覚した北海道警察の汚職事件、”稲葉事件”の張本人・稲葉圭昭氏が9年の服役から出所してから書いたノンフィクション。2016年の映画「日本で一番悪い奴ら」の原作となった。私は映画を観てこの事件に興味を持ち、関連書籍を本作含めて2冊読んだ。1冊は本作で、もう1冊は事件発覚の1年後の2003年に刊行された映画と同名のノンフィクション「北海道警察 日本で一番悪い奴ら」。

時系列で言うとこうなる。

(1)2002年:稲葉逮捕

(2)2003年:ノンフィクション「北海道警察 日本で一番悪い奴ら」刊行

(3)2011年:ノンフィクション「恥さらし〜北海道警 悪徳刑事の告白/稲葉圭昭」(本作)刊行

(4)2016年:映画「日本で一番悪い奴ら」公開

人物名は(2)ではおそらく実名で、(3)と(4)では仮名で扱われている。3つの作品で同一人物が全て別の名前で出てくるのでややこしい。

本作は、(2)で真偽不明で書かれていたことの8年越しの答え合わせになっているのが感慨深い。1995年2月に稲葉が暴力団組員に強盗をさせた疑惑や、2001年1月のトワイライトエクスプレス拳銃摘発事件への関与を、稲葉は本作の中で否定している。また、(2)では渡邉司(本作では渡部真)と稲葉との間の金銭トラブルについて渡邉司の主張を元に書いているが、本書では稲葉の主張を元に書いているため、受ける印象が180度異なる。

稲葉の主張が100%信頼できるという保証もないのだが、稲葉の説明は道警や渡邉司の説明に比べると遥かに信用できる印象だ。たとえば、稲葉は自分のエスを課のリストに全て登録して、エスから持ちかけられた拳銃取引案件は基本的に上司や課に確認を取った上で実行しており、行動原理が正直者のそれなのだ。渡邉司についてはハルシオンを常用していて常に意識が朦朧としているような状態だったそうだ。

たぶん稲葉も自分に都合の悪い事実はあえて喋らなかったりということもあるだろうと思うが、それでも他の関係者が死んだ渡邉司や片川(本作では片山)や稲葉に全てを押し付けて責任逃れしているのに比べれば、相当正直に話していると思う。本来であれば他の関係者もきちんと証言をすれば、より客観的な事実が見えてくると思うのだが、2002年の稲葉逮捕から数えて20年以上も何の進展もないのだから、おそらくそれは望めないだろう。過去の汚職は闇に葬られるとしても、これを反省材料にして現在の警察組織が改善することを望む。

それにしても、覚醒剤と大麻の密輸の規模(末端価格)には改めて驚いた…。
>130キロの覚醒剤は、当時の末端価格に換算すれば約40億円。
>(大麻)2トンは末端価格60億円にもなる莫大な量です。

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