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月曜から夜ふかしに出たときの裏話


20XX年、某月某日。
わたしは、高円寺の行きつけの美容院で月に一度のヘアトリートメントを終え、商店街をぷらぷら歩いていた。

すると、でかい看板を持った女性スタッフとカメラマンが、道の端にちょこんと居るのが目に入った。

看板には「月曜から夜ふかしに出ませんか?面白い人募集!」の文字。

当時わたしは、魔女(師匠)の弟子をしていて、魔術や占いの勉強をしていたのだが、これって面白いのでは?という自負があった。
試しに話しかけてみると、「なんか魔女っぽいことできますか?」と言われ、商店街の道路でタロットカードを広げて占いをし、それが全国放送されることとなった。あとは当時の放送を見たとおりである。


実はこの話には、裏話がある。


でかい看板の「月曜から夜ふかしに出ませんか?面白い人募集!」の文字をみた瞬間、わたしは焦った。


月曜から夜ふかしの取材ってこんなところで行われているの?!全国放送?!誰でも出られるの?!師匠を宣伝するチャンス?!悪意ある編集されたらどうするの?!叩かれるかな?!でもこんな機会ってそうそうないのでは?!


いろいろなことが一気に頭を駆けめぐり、話しかけたい好奇心と、それが良い方に転がるのかどうかの不安のはざまで、わたしは揺れていた。そう、迷っていた。そして気づいた。


迷ったときには、占いだ!


そう、わたしは魔女弟子であり、占いができるのである。タロットカードはいつも鞄に入っている。

わたしは一度スタッフをスルーし、近くにあったいきつけのカフェに駆け込んだ。馴染みの店長が「ぼくだよ、久しぶり〜」と声をかけてくれる。


「すみません、場所、貸してください!」


わたしは事情を説明し、カフェのテーブルを借りた。その場でタロットカードを広げ、「わたしは今、月曜から夜ふかしに声をかけるべきか?否か?」と占った。サクッとスリーカードだ。
まあ予想の通りではあるが、「なるようにしかならない」のような結果だったように思う。「最低!やめとけ!」の雰囲気がないなら上々だ。

店長に礼を言い、わたしは早々にカフェを飛び出した。


そうして月曜から夜ふかしのスタッフに声をかけ、出演に至ったのであった。


取材のあとは、改めてカフェにお礼を言いに行き、美味しいお茶を飲んだ。



みんな、迷ったら占いだよ。気軽に占いをしよう。


おわり


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