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【詩】明ける真夜中に

僕のことを見ている?
樹木の中で寝ている蜜を起こして、こっそり一緒に遊んだね
甘いか苦いか、味見なんてしないよ
どういう味かなんてどうでもいいんだ
羨ましがっている虫の声をききながら
甘そうな光を眺めていた

聞こえていたよ、木の中で
ずっと僕に話しかけてた
「ねぇ、聞こえてる?」
「聞こえてるよ」
「ずっと言ってるよ」
「知ってるよ」


ねぇ、今も聞こえてる?
スポットライトの下でつまずきながらステップを踏んでたね
首を振ると、答えてくれる
足が浮くぐらいに支えてくれる
周りの音がなくなるくらい、澄んでいた
明るい夜の下で踊るんだ

熱い焚き火の傍で身を寄せ合い
ずっと話しかけていた
「ねえ、聞こえてる?」
「聞こえてるよ」
「ずっと言ってるよ」
「知ってるよ」


風が止む
夜が好きだと言っていたね
「つまずいてもひとりでも、そっと僕を照らしてくれた」と
名前を聞くと、目を逸らす
「君は蜜であって夜じゃない」
私が怯えたら、僕は夜に隠れて癒しを求める
私の手が冷えて、「僕の手を離して」


月を目指して、飛んでいく
星になって消えていく
「ねぇ、聞こえてる?」

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