見出し画像

明るい散歩

 今日は、健康施設が休業中なので、久しく顔を合わせていなかった友人と、大阪城公園へ散歩に行く。「噴水のところで待ち合わせやね」と、お互い意気揚々と、「いいお天気!スタバの日陰に移動してるよ」などメッセージを入れつつ、待てど姿が見当たらない。あれ、まさか?「大阪城ホールの前の噴水前だよ」と、メッセージが届いた。「も、森ノ宮駅の方にいるよ」と、私。結局双方から梅林の方に向かって歩いていくことになった。噴水は二箇所あるので、お互い自分に近い方で待っていた。思い込みほど当てにならないなあと、青々した梅林でようやく合流。

 彼女は家が近いせいか、公園の中をよく知っているので万歩計を見ながらウロウロ。天守閣の石垣を久しぶりに見ながら、午前中の散歩の人、走る人とすれ違う。木陰で本を読むおじいさまや、巨大な望遠レンズをつけた、カメラマニアのおじさま。空も堀の水も並々と青い。こちらは、井戸端話をしつつ、ゆっくり歩く。去年の休業中は一人で何回か来たなあ、桜がまだ咲き始めの頃だった。枯葉や雑草の生い茂っている土のところを歩いていると足が疲れない。石山本願寺跡、豊国神社を通って大阪城ホール側に出る。噴水に、スタバに、ローソン!森ノ宮側と全く同じ構成だった。おかしくて笑ってしまう。「コンサートがあるときは、ここはいっぱいになるの」と、大阪ビジネスパークで勤めていた彼女は、公園の主のように説明してくれた。小腹が空いたので、分厚いアクリルでしっかり仕切られたマクドのカウンターで行き交う人を見ながら、高齢女子先輩による、昭和話。
 彼女の仲良しの友が、最近たった一週間で変異ウィルスの犠牲になったということを知る。私は話したことはないけれど、あの方かなと思い出す。ストレッチマットで姿をお見かけすることは、もうないのだ。「誰も会うことも叶わず、お別れもできなかったし辛いわ。もし、ワクチンが間に合っていたら」と、彼女の話を聞いて、ニュースで見る数字の中にその方がいたのだという事実がリアルに押し寄せてくる。感染された場合、黙っておられることが殆どだろう。雑多な市内に住んでいて良かったと思うのは、感染症のまさに戦場だから。これが人口の少ない地域だったら、ただただ、忌避けられてしまうことになるだろう。

 帰宅して緊急事態宣言が延長されたことを知る。重症患者は以前450人近い。重症化が三倍のスピードの今は、解決するまでは災害中だと思って、できる仕事の方法を続けること。たまには息抜きを。お天道様を見ながら、次の公園巡りも休日にする事にした。

2021年5月6日

松井智惠

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?