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しとしと雨と分厚い参考書

電気通信主任技術者、という試験を1度受けたことがある。

上京して、携帯電話、今で言うガラケーの開発を始めたばかりのときだ。

上司に、電話関連だからなと言われたのか
国家資格もってるとイイぞとかそそのかされたのか

全くもって中学の理科以上の知識がない私が、電気通信主任技術者の試験を受けることにした。

参考書は7000円ぐらいした。
一週間の食費のやりくりが5000円ぎりぎりな生活で、分厚い参考書を前に本屋で暫くさまよってた。

よし、絶対受かって、いい仕事できるようにしようとレジに向かっていった。



当たり前だが、受からなかった。
高校大学とも文系。数学、物理、化学、地学なぞ、テストで一桁の点数しかとってない。

試験会場には、女性の姿すらなかった。


そもそも、この資格をどう仕事に生かせるか、すらわからなかったけど、仕事の経験もなく、エンジニアとしてどう成長していけばいいかわからなかった自分としては、たぶん、資格を取れば…というのが、わかりやすいソリューションだったんだろうと思う。

休みの日に、小さな狭いアパートの、小さな空を見上げながら、解答や解説をよんでも、日本語にすら見えない絶望と闘いながら。

その空はいつもどんよりして、雨がしとしとと降ってた。
今だに、そんな天気に会うと、ぼんやりと小さいアパートでフレミングの左手の法則について悩んでた自分の姿を思い出す。

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