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すばらしい空の世界 【024 木次線・奥出雲おろち号】



前回・前々回と『都区内区役所職員食堂めぐり』と題してお伝えしてきたが、そうこうしているうちに季節はどんどん進んでいる。 まだお伝えしたい区役所もあるが…次の機会に譲り、今シーズンで引退となるJR木次線をメインに走る『奥出雲おろち号』を今回はご紹介したい。 全席指定のため、今からだと座席指定券の入手は困難かもしれないが…キャンセルが出た場合には是非とも確保し、最後の勇姿を現地で見届けて頂きたい。

通常は木次〜備後落合の往復、土日祝日の指定日の備後落合ゆきは出雲市発として運転される。 木次発着の場合、出雲市または松江より普通列車を乗り継いでのアプローチとなる。
乗車当日は延長運転日だったので、8時45分に出雲市駅より出発する。 尚記載の時刻は、2023年10月現在のものである。

首都圏からだと、寝台特急『サンライズ出雲』では間に
合わない。 高速バス『スサノオ号』で、ギリギリ…。
出雲市駅では最後尾となる、客車の後方。 運転台が
設置されており、反対側に連結の機関車を制御できる。
出雲市駅では先頭となるディーゼル機関車。 木次線内
では備後落合行きの場合、後方より客車をプッシュする。
1号車は、トロッコ車。 テーブルを囲んだ4人掛けの
座席と、2人ずつ向かい合わせの座席がある。
2号車は、窓付きの控車。 1号車の指定席番号で
2号車の同じ座席番号の席に座れるので、雨の日も安心。
列車がトンネルに入ると、トロッコ車の天井に
装飾された『おろち』の姿が浮かび上がる。

9時17分、宍道駅に到着。 山陰本線を東に向かっていた列車は、ここから木次線に入る。 列車の進行方向も、ここで変わる。 先述のとおり機関車の付け替えはせずに、客車側の運転席に運転手が移動する。

宍道駅のホーム…出雲市始発の日のみの発着となる。
『奥出雲おろち号』ののぼりが、乗客を歓迎する。

9時28分に宍道駅を発車し、いよいよ木次線に入る。 全長(営業キロ)が81.9キロメートルで、広島県庄原市の備後落合駅とを結ぶ。

宍道駅より2つ目の、加茂中駅ホーム。 
年季の入った屋根が、歴史を感じさせる。

10時06分に、木次駅に到着。 10時08分の発車までの間に、あらかじめ発注しておいた『焼鯖棒寿司&稲荷寿司』を調達。 現代の輸送システムが構築される前は、ここ木次が生魚を運ぶ限界の地であった。 そのため木次より先の地域で売るために、鯖を焼き魚にしたという歴史がある。 その当時より受け継がれる、郷土の逸品である。

価格は1,000円で、乗車2日前までの予約が必要。
特に出雲市始発の日は、到着前に千円札の準備を…。
この焼鯖の肉厚!…食べ応えのある内容で、大満足。
木次では、鯖を一匹丸ごと串に刺して焼いている。

木次駅より3駅先の出雲八代駅では、てなづちの里の『クリーム大福』の販売がある。 沿線のグルメは事前予約制が殆どだが、こちらは早い者勝ちとなるも当日の調達は可能。

3個入りで、400円。 土・日・祝日の備後落合ゆきのみ
の販売。 乗車前日までに、予約しておいた方が確実。

木次駅より備後落合駅に到着するまでの間、車窓の右側にも左側にも美しい紅葉が展開する。 ピーク時には普通列車がラッシュになる路線…全車指定席の『奥出雲おろち号』ならではの、ゆったりとした空間で堪能したい。

途中で川沿いを走行する。 せせらぎを聴きながらの
紅葉狩り…束の間の、癒しのひとときである。
亀嵩駅に到着する直前の車窓。 美しい風景を切り取る
ためのカメラの動きも、だんだん忙しくなる。
出雲横田〜八川にて。 八川小学校の校庭に立つ
のは、色付いたイチョウの木であろうか…。

ホームでの『そば』の販売も、亀嵩駅と八川駅で行なわれる。 まずは亀嵩駅…『亀嵩駅そば弁当』は、並盛り750円/大盛り1,000円。 山芋と温泉玉子が入っている。 乗車当日10時までの予約が必要。 次に八川駅…『トロッコそば弁当』は、730円。 舞茸が入っている。 数量限定の当日販売なので、事前の予約が望ましい。

写真は『八川そば』。 来年以降の観光列車の運転が、
出雲横田までとなるとのことで…今回は、八川駅で調達。
添付のつゆを、そばに入れてから頂く。 都会の駅で
お馴染みのそばと、まるで食感が違うのは言う迄も無い。

列車は11時40分、出雲坂根駅に到着。 次の三井野原駅との間にある、162メートルの高度差に挑む。 途中には『三段スイッチバック』があり、前進と後退を繰り返す。

出雲坂根駅構内に『延命水』の泉源がある。 こちらは
新しい水汲み場。 この地の狸が100年生きたとか…。

上に行けば行く程、出雲坂根駅が木々の向こうに小さくなって見える。 車窓に『奥出雲おろちループ』が見えると、三井野原駅は近い。

こちらが『奥出雲おろちループ』…国道314号線である。
こちらの高度差は105メートルで、道の駅も併設。
幡屋駅より三井野原駅までの13駅には、神楽の演目から
採られた駅の愛称が…『高天原』が、三井野原駅。

その次の油木駅より、広島県となる。 そのまた次が、終点の備後落合駅…12時36分に到着する。

終点の備後落合駅にて。 中には木次に戻る、
折り返しの列車の指定券を持つ強運の方もいた。
備後落合駅の駅舎入口。 広島方面・新見方面・木次
方面の列車が『落ち合う』ので、名付けられたとか…。
駅前にある案内看板。 タクシーは常駐していないので、
事前に予約するか、同行者に車両を準備してもらうか…。
備後落合駅より、新見ゆきの列車で終点へ…新見より
特急『やくも』で岡山駅に出れば、新幹線に乗換可能。

もし可能であれば、備後落合より三次を経由して広島駅の付近で一泊。 お好み焼きを堪能し、翌日は宮島へ紅葉狩りというプランはいかがであろうか。 どちらにせよ三次〜備後落合〜新見の芸備線の区間は、極端に乗客が少ない。 可能な限り列車を利用し、路線の廃止だけは阻止したいところである。

◆ここでは本文でご紹介出来なかった項目を、補足としてお伝えします。
・備後落合駅に到着後、新見ゆきも三次ゆきも発車はおよそ2時間後。 その2時間で以前国鉄に勤めていたというボランティアの方が、備後落合駅や周辺の鉄道事情を熱く語って下さいます。
ここでなければ聞くことのできない『とびっきりの情報』も…改札口周辺で、グッズ販売も実施されています。 聴いて、買って…備後落合駅を盛り上げてゆきましょう!
・木次線沿線グルメを、あと2つ…まずは、出雲三成駅の『仁多牛べんとう』。 価格は1,000円で、乗車日の前日まで予約が可能。 奥出雲和牛肉と仁多米で作る、地産地消のお弁当です。
それと、出雲坂根駅の『焼き鳥延命の里』。 価格は1本120円で、土日のみの販売です。
・『奥出雲おろち号』の引退後は、現在活躍中の観光列車『あめつち』が担います。 ただ木次線内は出雲横田駅までの運転となるため、スイッチバックのある区間を通りません。 備後落合駅までの接続については、今後のプレスリリースなどで明らかになることでしょう。

参考文献等:JR時刻表(交通新聞社)        
『奥出雲おろち号』(JR西日本・おでかけネット)
『奥出雲おろち号』(出雲の國・斐伊川サミット) 
『焼鯖・焼鯖寿司』(石田魚店ホームページ)   
『延命水』『奥出雲おろちループ』        
(奥出雲町公式観光ガイド)  
『木次線の駅を訪ねて』             
(東広島市自然研究会ホームページ)

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