航空法 機長

(航空運送事業の用に供する航空機に乗り組む機長の要件)
第七十二条 航空運送事業の用に供する国土交通省令で定める航空機には、航空機の機長として必要な国土交通省令で定める知識及び能力を有することについて国土交通大臣の認定を受けた者でなければ、機長として乗り組んではならない。
2 国土交通大臣は、前項の認定を受けた者が同項の知識及び能力を有するかどうかを定期に審査をしなければならない。
3 国土交通大臣は、必要があると認めるときは、第一項の認定を受けた者が同項の知識及び能力を有するかどうかを臨時に審査をしなければならない。
4 第一項の認定を受けた者が、第二項の審査を受けなかつたとき、前項の審査を拒否したとき、又は第二項若しくは前項の審査に合格しなかつたときは、当該認定は、その効力を失うものとする。
5 第一項の規定は、国土交通大臣の指定する範囲内の機長で、第百二条第一項の本邦航空運送事業者で国土交通大臣が申請により指定したもの(以下「指定本邦航空運送事業者」という。)の当該事業の用に供する航空機に乗り組むものが、第一項の知識及び能力を有することについて当該指定本邦航空運送事業者による認定を受けたときは、適用しない。
6 指定本邦航空運送事業者は、前項の認定を受けた者及び当該事業の用に供する航空機に乗り組む機長で第一項の認定を受けたものについて、第二項及び第三項の規定に準じて審査をしなければならない。この場合においては、第二項及び第三項の規定は、適用しない。
7 第四項の規定は、前項の審査について準用する。
8 国土交通大臣は、必要があると認めるときは、第六項の規定により指定本邦航空運送事業者が審査をすべき者についても第二項及び第三項の審査をすることができる。この場合においては、第四項の規定の適用があるものとする。
9 指定本邦航空運送事業者は、第五項の認定及び第六項の審査を行うときは、国土交通大臣が当該指定本邦航空運送事業者の申請により指名した国土交通省令で定める要件を備える者に実施させなければならない。
10 前各項の規定を実施するために必要な細目的事項については、国土交通省令で定める。
11 国土交通大臣は、指定本邦航空運送事業者が第六項若しくは第九項の規定又は前項の国土交通省令の規定に違反したときは、当該指定本邦航空運送事業者に対し、第五項の認定若しくは第六項の審査の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命じ、六月以内において期間を定めて当該認定若しくは審査の業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又はその第五項の規定による指定を取り消すことができる。
(機長の権限)
第七十三条 機長(機長に事故があるときは、機長に代わつてその職務を行なうべきものとされている者。以下同じ。)は、当該航空機に乗り組んでその職務を行う者を指揮監督する。
(出発前の確認)
第七十三条の二 機長は、国土交通省令で定めるところにより、航空機が航行に支障がないことその他運航に必要な準備が整つていることを確認した後でなければ、航空機を出発させてはならない。

(危難の場合の措置)
第七十四条 機長は、航空機又は旅客の危難が生じた場合又は危難が生ずるおそれがあると認める場合は、航空機内にある旅客に対し、避難の方法その他安全のため必要な事項(機長が前条第一項の措置をとることに対する必要な援助を除く。)について命令をすることができる。
第七十五条 機長は、航空機の航行中、その航空機に急迫した危難が生じた場合には、旅客の救助及び地上又は水上の人又は物件に対する危難の防止に必要な手段を尽くさなければならない。
(報告の義務)
第七十六条 機長は、次に掲げる事故が発生した場合には、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。ただし、機長が報告することができないときは、当該航空機の使用者が報告しなければならない。
一 航空機の墜落、衝突又は火災
二 航空機による人の死傷又は物件の損壊
三 航空機内にある者の死亡(国土交通省令で定めるものを除く。)又は行方不明
四 他の航空機との接触
五 その他国土交通省令で定める航空機に関する事故
2 機長は、他の航空機について前項第一号の事故が発生したことを知つたときは、無線電信又は無線電話により知つたときを除いて、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。
3 機長は、飛行中航空保安施設の機能の障害その他の航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあると認められる国土交通省令で定める事態が発生したことを知つたときは、他からの通報により知つたときを除いて、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。
第七十六条の二 機長は、航行中他の航空機との衝突又は接触のおそれがあつたと認めたときその他前条第一項各号に掲げる事故が発生するおそれがあると認められる国土交通省令で定める事態が発生したと認めたときは、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。