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イノベーションとヘッドマウントディスプレイ

現在のメタバースブームとそのプラットフォームは新たなイノベーション(=新結合)により生れている。5Gなど次世代ネットワーク技術、分散並列処理などのサーバー技術の向上とクラウドコンピューティングとエッジコンピューティング、人工知能、半導体技術、3Dディスプレイ解像度、3Dモデリングとレンダリング技術、Web3.0(ブロックチェーンやDAO)など近年の技術イノベーションのトピックを網羅しているような技術だと考えている。今後はビジネスモデルイノベーション、社会的イノベーション、プロセスイノベーション、組織的イノベーションにどのように波及していくのか興味深い。

この度販売されるMeta Quest 3


今回はメタバース体験にとって基本的なデバイスである、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)について述べたい。

ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、ウェアラブルコンピューターの一形態で、ユーザーの頭部に取り付けられ、画像を眼前に表示する。HMDは一般的にバーチャルリアリティ(VR)、拡張現実(AR)、ミックスドリアリティ(MR)の体験を提供するために使用される。

HMD市場は、2022年に250.1億米ドルの市場価値から、2030年までに2,482.2億米ドルに達すると推定される。(参考1)

HMDの最初の概念は、1960年代にイヴァン・サザーランドとその学生たちによって開発された。彼らは「ザ・ソード・オブ・ダモクレス」と呼ばれる最初のVRヘッドマウントディスプレイを作りました。この装置は非常に大きくて重く、天井から吊るされていた。

1980年代には、NASAがVR技術に関心を持ち始め、HMDの研究と開発に資金を提供した。1990年代には、ゲーム産業がこの技術に飛びつき、いくつかの企業が商用HMDを発売したが、高価で低性能だったため、一般的には広く受け入れられなかった。

2000年代には、技術の進歩と価格の低下により、HMDが消費者市場で一般的になり始めた。スマートフォンの普及により、高解像度ディスプレイと高性能プロセッサーの価格が大幅に低下し、これがHMDの開発を後押した。

2010年代に入ると、Oculus Riftのキックスターターキャンペーンの成功により、HMDとVRは再び注目を集めるようになった。その後、多くの大手テクノロジー企業がHMDの市場に参入した。GoogleはGoogle GlassをMicrosoftはHoloLensを、そしてFacebook(現Meta)はOculusを発表した。


現在では、HMDはゲーム、トレーニング、エンターテイメント、医療、教育など、さまざまな用途で使用されている。また、VR、AR、MRの技術は日々進化を続けており、HMDは、より軽量で、よりユーザーフレンドリーで、そしてより高性能なデバイスへと進化を続けている。

特に視覚の精細さ(解像度と視野角)、快適さ(重量と形状)、および追跡精度(ヘッドトラッキングとハンドトラッキング)は、HMDの進化の重要な部分を形成している。

また、ワイヤレス接続性の改善も重要な進歩で多くの現代のHMDは完全にワイヤレス(インサイドアウト方式、オキュラスQuestがその代表的なHMD)であり、ユーザーの自由度を大幅に向上させている。一方で、電源供給とバッテリー寿命は依然として大きな課題となっており、メタバースブームが停滞し始めている一つの要因となっている。

さらに、次世代のHMDは、より高度なAIと機械学習アルゴリズムを組み込むことで、ユーザー体験をさらに高めることを目指している。これには、目の追跡、表情認識、さらには脳波解析などが含まれる可能性がある。

現在のメタバースやVR/AR技術の進展を考えると、HMDはその中心的な役割を果たし続けると考えられる。これらの技術が社会全体にどのように影響を与えるかは未だ不明だが、可処分時間をフィジカル空間に消費してきた人々の生活を大きく変える可能性を秘めている。

アップルのApple Vision Proはどのように世界を変えるのだろうか。

参考)
1.ヘッドマウントディスプレイ(HMD)市場ーテクノロジー別(AR、VR)、アプリケーション別(消費者、商業、企業・産業など)、製品別、コンポーネント別、接続性別、および地域別ー世界的な予測2030年
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000866.000072515.html

2.VRはいつか来た道?――誕生から30年を振り返る
https://magazine-k.jp/2019/06/11/30-years-history-of-vr/

3.メタバース さよならアトムの時代 加藤直人著 集英社(2022)

4.メタバース進化論 バーチャ少女ねむ著 技術評論社 (2022)

上記Xは私の団体でやってる #cluster でのメタバースイベントです。障害者の就労支援の一環で行っております。フォローしてもらえると嬉しいです。

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