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〜訪問看護師として想う日々のあれこれ。訪問看護師たねあかし〜

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長年、訪問看護師として働いてきた、私自身の仕事観、考え方、私を支えるものなどの話です。
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#訪問看護ステーション

看護大学の講義にて

当社の訪問看護ステーションは、毎年、看護学科の学生さんが在宅看護実習に来られているご縁があり、今回大学より講師依頼をいただいた。 先日、「在宅看護方法論」の外部講師として1コマ講義を担当させていただいた。 コロナ禍が始まってからの数年間、看護学生さんは以前と同様の臨床実習の機会を持つことや、在宅看護の実習場所の確保が難しい状況が続いてきた。 コロナによって、十分な経験を積むことができないまま国家資格を得る。 そして、看護師として現場に出ていくことへの不安や心配はぬぐえないだ

「遠い」って人それぞれ

訪問看護で必ず確認すること。 ステーションから利用者さんのお宅までの「距離」だ。 新規利用の相談も「すみません、遠方なので対象範囲外です。」 日々の訪問でも「わぁ、遠いですね・・」 なんて発言が、事務所内でチラチラ飛び交う。 遠い=大変? もちろん、訪問の効率や生産性を考慮すると、移動距離は短く・件数は多く。 移動距離が少ない方がスタッフの負担も少ない。 その分利用者さんのお宅でエネルギーを使ってほしい。 訪問看護での訪問先の「遠い」事情はさておき、最近、私の中で「遠い

「私がこれからの人生でやりたい事」2つのうち、叶いそうだった1つが延期になった話。

訪問看護を始めて、かれこれ20年くらいになる。 私は「ただ長く現場での経験がある」ということだけでなく、日々変化していく医療や価値観にに対応できる知識が欲しいと思ってきた。 そして訪問看護師を始めた頃から「訪問看護認定看護師教育課程を受講したい」という思いを常に温めてきた。訪問看護業務実績が3年以上でないと受験資格すらない。カリキュラムは645時間、実習あり、終了後認定試験ありの長丁場だ。 結婚・転居・出産・子育て・子どもの受験や進学・仕事、といったもろもろの状況の合間を縫い

私にできること。

訪問看護ステーションの事務所内でスタッフ同士の濃厚接触を避ける為、事業所の滞在は最小限にし、直行直帰・自宅待機・業務SNSでのやり取りという業務体制を始めてから、もう2ヶ月が経つ。 看護師による訪問看護が必要な方は、「新型肺炎のため利用休止」と言う訳にいかず、私たちは訪問看護を続けている。 しかし、新型肺炎の猛威は一向に衰えない。 連日、メディアから流れてくる状況は厳しさを増すばかりだ。 リーダーから報告があった。 事務所でスタッフがリーダーに向い、 「私が訪問に行っていい

背中を押すということ

エレベーターを降りると、エレベーターホールの鏡に白衣姿の私が写っていました。 自分の姿を見ながら深呼吸して、アポなしで総婦長室に向かいました。 私は総婦長に向かって、 「私は訪問看護を目指してこの病院に就職しました。病院の取り決め通り、病棟経験も積みましたので、来季からは訪問看護科への配属をお願いします。そのためにこの病院に就職しましたので、それがかなわないなら、私は退職します。」と一気に喋りました。 総婦長は「あなたの気持ちはよくわかりました。」と一言。 私が総合