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〜訪問看護師として想う日々のあれこれ。訪問看護師たねあかし〜

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長年、訪問看護師として働いてきた、私自身の仕事観、考え方、私を支えるものなどの話です。
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#子育て

「私がこれからの人生でやりたい事」2つのうち、叶いそうだった1つが延期になった話。

訪問看護を始めて、かれこれ20年くらいになる。 私は「ただ長く現場での経験がある」ということだけでなく、日々変化していく医療や価値観にに対応できる知識が欲しいと思ってきた。 そして訪問看護師を始めた頃から「訪問看護認定看護師教育課程を受講したい」という思いを常に温めてきた。訪問看護業務実績が3年以上でないと受験資格すらない。カリキュラムは645時間、実習あり、終了後認定試験ありの長丁場だ。 結婚・転居・出産・子育て・子どもの受験や進学・仕事、といったもろもろの状況の合間を縫い

「いや、そういうことでは、ないんですよ。」

当社は訪問看護ステーションだけれど、看護師のみの事業所ではなく、理学療法士・作業療法士・言語療法士などの他職種と言われるスタッフが大勢所属している。しかも、看護師の数より多い。 私は、本部と2つのサテライト(企業でいうところの営業所のようなもの)全体の看護部門の副管理者だけれど、それぞれの事業所には責任者がいる。 サテライトは数年前、リハビリ部門が先行して開設して訪問業務を軌道に乗せてきた。看護部門は本格的に始動して1年になる。 1年前、看護部門開設当初。サテライト責任者の

「ふつうのこと」がふつうにできる

昨年、訪問看護師を対象とした、県立子ども病院での1日病棟実習に参加させていただいた時の話です。 私自身が実習生として教わる立場は久々で、少々緊張感を感じながら、実習病棟に向かいました。 私の小児病棟のイメージは、 「大人の病棟とは違って、お子さんばかりの病棟なので少しにぎやかなのだろう」 と思っていたのですが、うかがった病棟ではとても静かに静かに時間が流れていました。 ・・・・・・・・・・・ 私が担当させていただいたKくん。 人工呼吸器を使用されています。 今

これからのひと

私が結婚後、夫の転勤の為に名古屋へ転居し、新しい職場で訪問看護師として勤務をしていた頃の話です。 ある日、私より随分年上の介護士のTさんがほほ笑みながら、 「あなたを見ていると、 『これからのひと』 だなあって思うわ!楽しみねえ。」 浮かない顔の私に向かってそう言われました。 初めての妊娠がわかり、うれしさよりは「これから訪問看護の仕事をどうしよう。仕事を続けられるのか。」 という不安ばかりで、慣れない体調にも四苦八苦しながら仕事をしていた時、Tさんが私にかけて