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「ぜ」の呪文

基本的に弱音や相談事はしない(グチは別だけど)ようにしている。大抵のことだったら自分で解決できるし、いままでもそうしてきた。たぶん、自分の弱み的な部分を見られるようでイヤなのかもしれない。もしくは、自分の考えが否定されるのを怖がっているだけなのかもしれない。よくまわりのひとからは「私はあなたみたいに強くない、」って言われることがある。でも私は、まったくもって強い人間なんかではない。死ぬほど落ち込むし、嫌なことを考え始めたらまったく眠れなくなる。眠れなくなると、早く寝なきゃ、と焦る。焦るとさらに眠れない。どうせ眠れないんだったらと、また考え事を始める。するとさらに眠れない。。新聞配達であろうバイクの音が聞こえ始める。遠くでカラスも鳴き始める。カーテンの向こうがうっすらしてくる。まさに、教科書のような負のループをよく繰り返している。
そんなコイキング並のHPなのに、まるでギャラドスのような強さを演じてしまう。でもそんな自分が嫌いなわけでもない、というイミフ人間(自分でもコイキングに見られたいのか、ギャラドスに見られたいのかもわからない)つまりは、『実は弱くてめんどくさいやつ』なのだ。そんなやつが、誰にも届かないであろうSNSに弱さをつぶやいた話。

なんだかすごく落ちた日で、〈話をきいてもらいたい相手もいない〉とうだうだつぶやいてしまった。それはたぶん本心で、聞いてくれる人がいないわけじゃなく、その話をしたくもなかったんだとおもう。すると、戦闘力2のアカウントなのに、「聞きますぜ」というメッセージが届いたのだ。

届いた言葉は、「聞きます」ではなく「聞きます ぜ」のひとこと。その最後の一文字が、防波堤でピチピチ跳ねてモガいている魚の懐に、そっと入り込んできた。おそらく、「聞きます」や「聞きますよ」「私でよければ」なんて言葉だったら、ありがとうございます。という感情で終わっていたかもしれない。「〇〇〇ぜ」なんて言葉、友人や後輩にもかけたこともないし、かけられたこともなかった。その魔法みたいな「ぜ」の呪文が、ものすごく心地よくて。−顔も知らない人−という距離感もあるんだろうな。『友達のようでいて  他人のように遠い  』とハナレグミが同時に歌い出した。
その距離が愛しいものだったかは別として、不思議な距離を作り出したことは間違いなく。ちょっと乱暴で、そっとやさしいその一文字が、落ちた人間をクスっと笑わせてくれて。そしたら不思議と泣けてきて。少し救ってくれたというお話。
※いやいや、クスってなりますよね。「聞きますぜ」って、急に誰やねん!ってなりません?ともだちか!って(←これ、ものすごく感謝と敬意と信頼と、友情も愛情もたくさんたくさん詰め込んでツッコんでます)

いつかきっと、最善のタイミングを見計らい「ぜ」をお返ししよう。と決めている。

でも、どうしよう。
実はもう「ぜ」を乱発したい衝動を抑えられないでいるんだが。。


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