決して消えない光を知っている -オタクの2023シーズン振り返り
12月に入ると本格的に野球ロスになりがちですが、補強の情報すらない楽天イーグルスのファンの皆さんはお元気ですか。私は2月まで耐えられないので今になって2023年シーズンの振り返りを始めました。その結果がこのnoteというわけです。
わざわざこれを読んでくださる奇特な方は既にご存知かと思いますが、私は楽天イーグルスの外野手・島内宏明選手のファンをやっております。知らなかった人は今覚えてください。そういう前提で話していきます。
島内選手は今シーズン5年ぶりの二軍落ちを経験しました。ただ5年前は怪我での離脱だったので、再調整という意味ではプロ4年目の2015年以来だったはずです。
私自身、悲しい気持ちも、それ以上に嬉しい気持ちもたくさん経験したシーズンでした。時間の許す限り島内選手の背中を追いかけ続けた(追いかけ回した?)厄介オタクが、備忘録として今年の島内選手を振り返りたいと思います。
シーズン開幕〜7月
チームとしてはAクラス奪取を目指し、島内選手個人としては4年契約の3年目、主軸として迎えたシーズン。私はと言うと島内選手がオープン戦ではほとんど一貫してDHでの出場だったことに違和感を覚えつつ、まあ他の選手の外野守備も見たいのかな〜と呑気に考えておりました。
春の首位独走がお家芸(?)の楽天イーグルスですが、今年は開幕から島内選手含め主力ほぼ全員が絶不調に陥ってました。かなり現地にも行った記憶があるのですが、正直試合内容とか覚えてません。カメラロールに残るスコアボードを見る限り、どうやら覚えてなくてもいいっぽいです。
しかしそんな貧弱打線もこれまで燻っていた若手や春の代名詞みたいな選手等が頑張ってくれたおかげで、時間をかけながらも観ていられる試合が多くなっていきました。ただその中でも島内選手はなかなか復調のきっかけを掴めていないようでした。数年ぶりの1番に抜擢してみたり逆に打順を下げてみたり、首脳陣も色々と試行錯誤していたのは伺えますが、去年までのいつでも誰からでも安打と打点を稼ぐ姿が見られることはありませんでした。他の選手の台頭もあり、少しずつスタメンに名前を連ねない日も増えていきました。
あの頃、代打を出されたあとのベンチでの表情は見ている側も心臓がキュッとなるものでした。(実際、春の代打策はめちゃくちゃハマっていたのですが……。)
それでもファンは信じて応援するのみです。時間の許す限り現地に行き、タオルを掲げました。
5年ぶりの公示から一軍復帰まで
東京ドーム遠征から帰宅した翌日、ツイッターを見ていた私に飛び込んできたのは島内選手が泉にいるという情報でした。その数時間後には楽天イーグルスの二軍本拠地である森林どりスタジアム泉にいました。ドーム試合からの僻地球場、今思うと我ながら気持ち悪い行動ですが、島内選手は本当に泉のベンチに座ってました。ドームで見た時は豆粒サイズだったのに、表情が見えるくらい近くでした。試合内容はぼんやりとしか思い出せませんが、島内選手が普段はあまり話さないであろう後輩や大学の同級生である阿部選手、自主トレ仲間でもある銀次選手、そして若手時代一緒にプレーしてきたコーチ達と楽しそうに話してる姿が見られてなんだかホッとしたのを覚えています。
泉からの帰宅途中に公示が出ていました。それを見た当時の私は「やっとか」という気持ちが何より強かったです。近年はほぼフル出場で輝かしい成績を残していた島内選手ですが、私の中ではまだ調子の波が大きい選手というイメージがあったので、5年ぶりの二軍と聞いて、今までが凄すぎたんだよな…とか思っていました。そういえば楽パ以外で二軍戦を見るのも2015年以来で、思えばそれも島内選手を見に行った時のことでした。ずっと好きかよ。夕焼け空を眺めながらちょっと泣きました。
そこから二軍の試合は行けるだけ行きました。島内選手は試合前練習から超元気で、とにかく楽しそうに内野守備練習に励んでいるのが印象的でした。ずっと外野専なので気分転換的な名目での内野守備練習だったのかと思われますが、いかんせん外野の層は厚いチームなので、それと比べたら割と隙のあるファーストもできるようにしたいという気持ちはもしかしたらあったのかもしれません(勝手な憶測)
誰より声(奇声?)を発しながら若手に混じって白いズボンを泥だらけにしてノックを受ける姿は、久しぶりに見るイキイキとした島内選手だったのでなんだか嬉しかったです。
もちろん試合中もいつもの全力プレーを見せていました。後輩に野次…声援を飛ばされながらバットをぐにゃぐにゃ振っては目指す塁まで駆け抜け、塁上で相手チームの選手と笑顔で挨拶を交わし、すぐに牽制で泥んこになり、気付けば打点を稼いでる島内選手は、変わらないいつも通りの島内選手でした。
シーズン終了後、あの時のことを牧田コーチや西村コーチが「島内には遠慮なく檄も飛ばしたし、気を遣わず接した」という風に言ってました。二軍に落ちて良かった、というのは乱暴な言い方になってしまいますが、自身の若手時代を知っている先輩やずっとチームメイトとして切磋琢磨してきた銀次選手などに囲まれて、あの数週間だけはいつもの重圧から少し解放されていたならいいな、と頼れるコーチ陣の話を聞きながら勝手に思いました。
8月10日、二軍の試合で3安打1本塁打5打点と大暴れした島内選手は、その翌日に一軍へ昇格しました。そして二日後には復帰後の初打席。あの時の声援はただのファンなのに泣きそうになりました。
一軍復帰後
そして8月19日。島内選手は1点ビハインドの8回裏、ツーアウト3塁という場面でピンチヒッターとして打席に立ちました。周りの声援がとにかくすごくて(私はドキドキしすぎて声援どころじゃなかった)これまで島内選手自身が積み上げてきたのがどれほどのものだったかというのを実感するだけでもう感極まってました。はえーよ。
島内選手は自分の名前がコールされる中、ネクストバッターズサークルで湧き上がるレフトスタンドをしばらくじっと見つめて、それからバッターボックスに入りました。
あの試合が、あの打席が、今シーズン私が一番泣いた瞬間だったと思います。(隙自語)
代打でまさしく勝利の一打を放った島内選手は、お立ち台でゲリラ豪雨に襲われながらも嬉しそうでした。観てる側も雨でびしょびしょになりましたがそんなのもうどうでもよかったです。
その後の二次会で歌った島内選手の応援歌はめちゃくちゃ泣けました。応援歌界屈指のネタ曲だったはずなのですが、なんかあの時はRADWIMPS並の名曲に聴こえました。
春季キャンプ中に肩を痛めていた、ということを知ったのは復帰後のこの時期でした。大丈夫かと聞かれたらあんまり大丈夫じゃなくても大丈夫って答えちゃうような人だと思うので、痛い部分を庇いながら試合に出続けていたあの頃の胸中を想像するだけで切なくなります。
ただそのあとはまさに今までの悔しさを取り返すような活躍でした。自己最多となる一試合5打点やサヨナラホームランなどで、最後までクライマックスシリーズへの望みを繋いでくれました。全力で塁に突っ込み、飛んできた打球に突っ込み、最終戦ではシーズン終了となる3つ目のアウトが告げられてもしばらく塁上から動かずに立っていた姿がずっと記憶に残っています。
おわりに
2023年はチームとしても個人としても悔しい一年だったと思います。ラジオでも今シーズンについて「一番悔しかった」と振り返っていました。ポーカーフェイスであまり感情を表に出さないように思われがちな島内選手ですが、意外と悔しいとか嬉しいとか、そういう感情が隠しきれない時もそれなりにあるように感じます。今までだってたくさん本気で悔しがって、その悔しさの数だけ努力して這い上がってきた島内選手なので、これからも絶対に大丈夫だと信じています。
そういえば今年の春季キャンプでシーズンの目標を聞かれた際、いつも適当なこと言ってはぐらかす島内選手が「3割は目指したい」と答えていたのが印象的でした。今年達成できなかった分も来年はやってくれることでしょう。
今、楽天イーグルスは再建期に入ろうとしています。島内選手の同級生である岡島豪郎選手も契約更改のインタビューで「自分たちの世代が試合に出られないのが、チームにとって良い状態」と言っていました。
でももちろん、この世代もまだ一花、二花咲かせられる年齢だと思うし、選手本人だってそう思って今オフも若手に負けないくらい頑張っているはずです。後輩達の高い壁としてできるだけ長い時間グラウンドでプレーする姿を見せてほしいというのが、1ファンとしての願いです。
頑張れ島内選手! そのひたむきな背中をこれからも厄介オタクは追いかけていきます。
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