少しぬるくなったコーヒーを飲みながら微睡む

最近、親友が恋人になった。

私が辛いときずっと側で笑っていた人だった。

彼と出会ったのは大学のサークルの新歓で、最初は可愛らしい男の子だななんて思っていた。

学科が違ったり、サークル自体不定期開催のライブでしか会える機会が少なかったりと、大学1年の前期はそこまで仲が良いわけがなかった。

誕生日にドーナツをくれたのだけれど、わたしはドーナツが苦手で、同時に彼の誕生日には彼の苦手なマシュマロをあげてしまった。すごい、すれ違い。

今思えばなんで仲良くなったのだろうというくらい不思議なのだが、私が新しいアルバイト先を探していたら彼が一緒にやろうよと声をかけてくれた。

学校でもサークルでもバイト先でも顔を合わせていれば必然的に仲が良くなる。

彼は2年生の頭から終わりまで私が一番仲が良かった先輩と付き合っていた。

先輩は酷く感情の浮き沈みの激しい人で、次第に悪化していきお互いに疲弊しているように見えた。

彼らの間に入って取り持っていたのだが、破局してしまい、私は彼としばらくの間距離を置いていた。(どうしても女性側の味方についてしまうので)

3年の終わり頃、わたしが恋人にこっぴどく振られてバイト先の飲み会で泣き出してしまってから彼が急に優しくなった。

それまではお互いよく言えば気を遣わない、悪く言えば配慮がない仲であったのに。

私が少し立ち直って、就活など慌ただしくしているうちにまた距離が少しできた。

でもバイト先で会えば軽く話す。

何度だって、「ああ、今」っていう瞬間があった。

でもお互い一線を越えなかったのはどうしても関係を崩すのが怖かったからだと思う。

私の場合、彼の元恋人の先輩の存在もあった。

私は彼を「仲が良いけれど絶対に友達である関係だ」と言い張らなくてはならなかった。

意地を張って、周りに「絶対にアイツとは(そういう関係にはなら)ない」と言っていなくてはならなかった。

でも大事な友人であると言うことはお互いに感じている、その関係が心地よかった。

だからこそ彼が1年近く前から私に好意を持ってくれているということが衝撃だった。

今まで、ずっと友達として接してきたから、君が(元恋人と)別れた時あんなに泣いたり取り乱してるのを見て「ああ、女の子なんだな」と思った。そういう一面を見て好きになった。と言われて私は

なんとも言えない、嬉しいのか驚いているのかわからない感情になった。その両方かもしれない。

どちらかが一歩踏み出せば崩れる、「友達以上恋人未満」なんてよく聞く言葉がお似合いな関係だった。

私が勝手に自分の感情を押し込んで、「有り得ない」のレッテルを貼っているだけだった。

多分、無意識だと思う。いつから好きだったなんて覚えていないしそれが恋愛感情であるかすらわからない。大事な人であったのは間違いないのだけれど。

でも今確かに彼のことが好きで、恋人になれてよかったと思っている自分がいる。


どうかこの温かい気持ちが続いてほしい。