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理想の休日
朝6時ごろにふと目が覚める。
年々眠りが浅くなっているのか、社会人としての生活リズムがしみ込んだのか、起きたいと思っていなくても目が覚めてしまう。
おばあちゃんが「年取ると寝れなくなるんだよ」と自虐的に言うたびに、むしろ長所じゃんと思っていたけれど、寝たいのに寝れないの方が辛いのかもしれない。
そんなことをぐだぐだ考えているうちにもう一度眠ってしまっていて、気が付いたら8時。まだまだ若い。
もう少し寝ようかと、色々な体制で入眠に挑むが、寝られない。
15分で負けを認め、目をつぶりながら今日は何をしようかと考える。
朝早く起きたし、カフェのモーニングに行こう。
行ってみたかったあそこのカフェは10時オープンらしい。
ゆっくり支度をして、読みたい本をもって向かえばちょうどいい。
分厚い食パンにあんこを塗って。
ああ、ゆっくり食べようと思ってたのに、美味しすぎて一瞬で食べちゃったなあと残念界で一番幸せな気持ちを味わったりして。
コーヒーをゆっくり飲んで、本を読む。
意外と集中できなくて本を開きながら、別の考え事をする。
でもその考え事も途中からどうでもよくなって、もう一度本の世界に戻る。
気が付いたら1時間経っている。
店員さんが半分以上残った水だけが残る私のテーブルをちらちらと気にしているようだ。
迷いなく本をカバンにしまって席を立つ。
うろうろ散歩して銭湯にでも行こうか。
家に戻って車に乗ってドライブするのもいいな。
ちょっと体を動かしちゃったりして。
よし、このルートだ。
今日も最高の休日になりそうだ。
理想の一日を巡らせて私は起き上がり、リビングへ向かうと、キッチンで母親がホットケーキを作ろうと意気込んでいる。
いつも私たちを幸せな気持ちにするためにキッチンに立つ母。
私はこの人みたいに、人に一生懸命になれるのかな、と思う。
椅子に座ってぼけっとしていると妹が下りてくる。
いつも両手にいっぱいに大切なものを抱えている妹。
私はこの子みたいに、愛にあふれていられてるのかな、と思う。
ぐだぐだしていると姉が下りてくる。
寝起きは恐ろしく目が開いていない姉。
私はこの人みたいに、自分を生きることができるのかな、と思う。
甘い匂いの食卓をみんなで囲む。
プールでひと泳ぎしてきた父親が返ってくる。
お、仲良しちゃんたちと嬉しそうに言う。
私はこの人みたいに、自分の生きる道を貫けるのかな、と思う。
食後にコーヒーを入れて飲みながら、みんなで最高の休日だなあと笑って、一日予定がないことに盛り上がる。
この時点で私は”私の理想の一日”を達成する気は一ミリもない。
これがいいんだよな、と思う。
大人になっても、これがいい
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