見出し画像

基準を作って勢いで殴る - RTA in Japan Winter 2022 寿司RTA解説記録

そろそろ解説をしないと死ぬぜ!

という事で、RTA in Japan Winter 2022 にて「そろそろ寿司を食べないと死ぬぜ!」のRTA解説を担当させて頂きました。
いやー楽しかったです!

せっかくなので、この記事では解説の準備と当日の状況を書いてみようと思います。
総括すると、今回はこれまでの解説とはちょっと違う苦労がありました。

請けないつもりだった解説

そもそも、今回のRiJでは解説を請けないはずでした。
2022年の年末はスケジュールに余裕が無さ過ぎたからです。具体的には、

・ゲーム系同人誌へ寄稿する原稿作成 (〆切:11月中旬)
・不思議RTAフェスにて広告担当としてイベントの締めと次への対応(〆切:11月)
・Rock Man 35year Anniversary Runsにて4作品の解説を担当 (イベント日:12/17)

いずれも私がやりたいと思って楽しく取り組んでいたものの、さすがにスケジュールを詰めすぎました。
さらに仕事の残業も重なってプライべ-トの余裕も無い状態。
この状況でRiJ解説を請け負っても走者の方に失礼だな、と思い解説請負の告知ツイートはしない予定でした。

そして迎えるRiJの当落発表日。
発表された瞬間も夜の作業に備えて仮眠を取っていました。

しばらくして仮眠から覚めたのは0時手前、さあ作業を始めるかとスマホを見ると知らない人からDMが。
いやいや待て。まさか解説依頼じゃないだろう。まだスケジュール発表もされてないぞ。と、思いながら開封するとやっぱり解説依頼!
しかも発信時間が当落発表から15分後という気合の入りっぷり!

RiJの当落発表が午後8:45。わずか15分後の依頼!

こんなに気合の入った連絡をもらったからには請けるのが礼儀でしょう。
腹を括りました。

準備をなんとかする方法

とはいえ腹を括っても時間は出てきません。
一応ここには打算があって、最悪のスケジュールとしてロックマンのイベントが12/17に終了してから1週間で詰めるつもりでした。
ゲーム自体も既プレーでしたし、夏のRiJで鹿の3人レースを経験したので何とかなるだろうと。

そこらへんの打診をするためにも依頼の来た翌日、11/7に早速キックオフミーティングを実施。自分の今の状態の共有、解説方針とRTAの要点の確認、今後のスケジュール設定を決めました。
結果、12月初週に走者から情報聞き出し会議、12月18日以降に最終リハーサルをすることに決定。
他の作業と並行して準備を進めるならこれが限界だと定めました。

11月中は他の作業を実施しつつプレーし直しと軽く記録動画を確認。
12月初週の会議ではリハーサルをしないつもりでしたが、資料準備をしていたら楽しくなってしまい結局リハーサルまで出来る状態に仕上げました。
最終リハーサルの頃には他の作業は全て片付いておりミッチリ解説準備ができ、当日には万全の状態で臨めました。

結果論ですが、本当になんとかなりました。

レース解説の問題解決

解説方針はアッサリ決まりました。

・技術解説中心でネタには触れすぎない
・長いムービーでは諦めてネタをしっかり引き出す
・3人レースの走者比較をする

「そろそろ寿司を食べないと死ぬぜ!」(以下、寿司)はバカゲーでありつつRTAでは精密操作が求められます。
似た内容として夏のRiJにて「ごく普通の鹿のゲーム DEEEER Simulator」(以下、鹿)3人レースを解説したのでそのノウハウの生かせばいけると思いました。

しかし、初リハーサル時に問題が見つかります。

・プレー技術を推したいが、絵面への反映が地味で分かりづらい
・技術が分かりづらいので走者比較が難しい
・最後のムービーが長くて対処に困る

改めて鹿を振り返ると、非常にレース解説がしやすいゲームでした。
8分という短時間の中で絵面も目的もプレー技術がコロコロと変わるので1位の人の説明だけをすれば成立します。
レース走者の比較も簡単で、絵面の違いはもちろん、同じ絵面でも鹿災害レベルのゲージを比較すれば一目瞭然です。
ムービーも全てスキップでき、プレーが止まる瞬間はありません。

対して寿司は、精密動作が中心かつプレー中のタイム表示も比較しづらいのでザックリとした比較しかできません。
ムービーも飛ばせないうえに長く、話をつなぐ必要があれどゲーム中のセリフの勢いが強いので解説が長く話すと食い合わせが悪くなります。

鹿は初回リハーサルからなぜか上手く解説ができた理由はこれだったのかと痛感しました。無くなって分かるありがたみ。

ただ、理由が分かれば対処法も見えてきます。

まず、走者比較のために目標タイムを設けることにしました。
鹿災害レベルのような基準が無いならば、基準を作ればいいだけです。

解説で使用した目標タイムはゲーム内に存在しません。事前に走者3名へ「ここを超えたら遅いと感じるタイムはいくつ?」と質問して各ステージの目標タイムを決めました。
超えたら遅い、巻いたら早い、1秒以上巻いたらスゴイ。これがあれば走者比較が楽に出来る上に個人のすごさも分かるので、レースで1位が独走しすぎてもテンションを緩めずに解説ができます。

目標タイム一覧。当日は紙に印刷して素早く参照できるように。
「死」とあるのは超えたら体力切れで死んでしまうステージ。

長いムービーの対処については、ムービーの冒頭は2・3言リアクションしつつ内容を要約して伝え、それ以降はレース内容を伝える時間へ回すことにしました。
ムービーのカロリーの高さは活かしたいのですが、長くリアクションをしすぎるとダレる上にレースから意識が離れてしまうのでこの時間配分と決めています。
最後のムービーは思い切って走者インタビューを入れることで解決しました。

これで問題解決は出来たのであとは練習あるのみ。
やり方さえ決まれば後は持ち前のしゃべくりでぶん回すだけです。
ゲームのカロリーが高いので鹿の時以上にテンションと密度を上げて話すことを意識していました。

また、最終リハーサルに向けて走者の方へお願いして自主練用に適度にミスしている動画を提供いただけました。
ただ、走者インタビューは動画を使った自主練では練習できないので、最終リハーサルにて上手く出来ると確認できたときはかなりホッとしたのを覚えています。

これで全ての準備は完了。
最終リハーサルの時点でレース展開も毎回違った展開になっていたので、本番がどうなるのか楽しみという気持ちで当日を迎えることができました。

本番当日

開始前

会場入りに際しては、今回の会場の雰囲気をつかむために前日入りして確認をしておきました。
環境は前回とほとんど変わらないことを確認でき、巻き進行である事だけ把握すれば良いと判断しました。

当日は開始5時間前の13時ごろに入り、観戦したり挨拶しながら待機。
開始2時間前に練習部屋で直前ミーティングをし、控室で走者の練習を見守りながら出番を待ちました。

開始前のセットアップですが、2点ご迷惑をお掛けしてしまいました。
3人レースでの解説の席を決める際、配信席が4つある上でカメラが右側3つを映していたので左端の席を選んだのですが、そこは3人分の画面が映らない席でした。
今回の解説では各走者のタイムを並行して確認するために3人分同時に見れるようにする必要があったため、走者のセッティングがある程度進んだ後にもかかわらず解説席を右端へ移動させて頂きました。

さらに、配信の冒頭と終盤で走者の後ろにできれば立ちたかったのですが、配線上難しいので諦めようとしたところ、運営の方が気を回して頂き手持ちマイクを手配くださいました。
ただでさえ3人並走で音声ラインの管理が厳しいところに、急遽追加機材まで手配頂いてしまいありがたくも申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

これらがセットアップに30分近くかかってしまった理由です。

今後の対策として、複数人で複雑な状況の場合は配信担当の方へ事前相談をするように致します。

開始後

ただただ楽しかったです。

走者の方のプレーの冴えが準備した内容とガッチリかみ合うことでRTAとゲームの魅力が120%発揮され、手持ちマイクとヘッドセットの両方使わせて頂けたおかげで全体の流れとしてもやりたいことが全てできました。
リハーサルでの戦績や当日の控室での状況も入れられてスポーツっぽい雰囲気も盛りこめられたのも良かったです。

反省点は2点あります。
1点目は、前説で台本直読みをしたことです。
ベストなのは会場カメラに視点を向けて話すことだと思います。
が、セットアップで時間がかかりすぎたことに動揺していたので、ミスをしないことを優先して多少不格好でも台本直読みにしました。
アーカイブで見てもやっぱり不安げに見えるので、会場で見ていた人にはより違和感は与えてしまっていたと思います。

2点目は、手持ちマイクの扱いができていなかったことです。
折角手持ちマイクを手配頂けたものの、明らかに口元とマイクの距離を間違えていたので音量が全体的に小さい上にぶれておりました。
開始前に扱いが難しいことと使い方について指摘いただいたので脇を占めて前腕を固定するようにしていましたが、扱いに慣れてないうえに無線マイクという事で重量も重く初心者には厳しかったです。
これは前項のセットアップの問題で解決できた可能性がありました。

あと、細かい言葉遣いの誤りが多かったのですが、これは永遠の課題と捉えています。
レース実況に使う単語を抜き出して、適切に意味と発声ができるようにしておきます。

おわりに

改めて、走者であるしゅんたぬさん、Nore139さん、みなづきさん、解説をさせて頂きありがとうございました。
いろいろありましたが振り返ってみれば、解説ができて本当に嬉しかったし楽しかったです。

RTA解説請負を始めて1年半経ったうえで解説という立場を考えると、ゲームとRTAの内容を最大限理解しつつ現場の臨場感も味わえる、観客と演者のいいとこどりな最上の席だと思います。
だからこそ下手なことはできないし、運営・走者・RTA・ゲームに敬意を払って臨まねばと身が引き締まるところです。

今後も、ゲームとRTAの魅力を引き出すコミュニケーションと台本作り、喋りの専門家としての腕を磨かねばと思います。
そうして鍛えておけば自分の作業効率も上がり、今回のように辛いスケジュールに直面することは無いはずです。
正直、今回はたまたまハマっただけで2度目は無いと思います。

解説依頼を受ける前からこれらの基礎技術を身に着き、時間が限られた状況でも走者・視聴者の両方に喜んでもらえる解説がしたいです。
特に自分の解説の特性も見えてきたので、それらの作業効率が上がるように鍛えて参ります。

と、いうわけでRTAの解説依頼はいつでも受け付けています。
イベントの規模の大小にかかわらず、お気軽にお申し付けください。

2023年もよろしくお願い致します!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?