高校生編

箸が転んでもおかしい年頃とはよく言ったもので、私の通っていた女子校は常に笑いで溢れていた。今考えると何がそんなに楽しかったのかよく分からないが、とにかく一日中笑っていた。先生たちの個性も爆発していて、特にお気に入りだったのは古典の先生だ。カエルのような顔、ちからった髪の毛、変なメガネを装備した似顔絵がとても描きやすいおじさんで、古文の恋愛系の話になると教科書そっちのけで恋愛論を熱弁し出す愉快な先生だった。私たちは彼を恋愛マスターというあだ名で呼ぶことにした。恋愛マスターは非常に女心を理解している様子で、作中の察しの悪い男達に苦言を呈したりしていた。その恋愛マスターっぷりと見た目とのギャップが私を引き寄せ、夢中にさせたのだろう。恋愛要素の少ない漢文の授業は常にウトウトしていたが、古文の授業はいつも楽しみだった。私もさらに勉強して恋愛の何たるかを先人から学べば、彼のようにマスターになれる日が来るのだろうか。


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