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社会人3年目までにやっておきたかった事(後悔編)2

パート2
30代商社マンの人生を変えた後悔

①高学歴と資格


 現役商社マンHさんは大阪の名門大学を出て中堅メーカーに就職しました。
中堅メーカーの中では圧倒的な高学歴とまた簿記1級の資格持っていたため、すぐに中核の仕事をさせてもらえると思っていました。
 配属も本社企画部門に配属され幹部候補生として期待されていたようです。

②与えられた仕事


 入社し、1ヶ月の研修が終わりいよいよ現場での仕事が始まりました。与えられた仕事は帳票の整理と各営業所から上がってくる数字の集計、エクセルでの表作り、日によっては営業所の引越しの手伝い等雑用に近い仕事ばかりでした。

③上司と口論


 Hさんは自分の能力が発揮できる仕事ではないと思い、部署の課長に自分の経歴と資格に見合った仕事をさせて欲しいと直談判します。
 ところが課長は「今の仕事も適当にやっているように見えるのに、大切な仕事を任せられるわけがないだろ」とHさんに注意をします。
 Hさんは「頭を使う仕事をやらせてもらえれば誰よりも成果を出してみせます」と反論します。
 課長は「まずは今ある仕事を頑張りなさい」と言って取り合いませんでした。

④失意の退職


 Hさんはその後大切な仕事を任されることはなく、3年目に総務部に転勤を命じられます。
 総務部での仕事は前部署と同じく帳票の整理と雑用でした。
 Hさんは選んだ会社を間違えた、と思い転職を決意。
 会社側に伝えたところ特に引き止められることもなくすんなり退社することができました。

⑤スムーズな転職活動


 Hさんは大学、資格、前職も本社企画であったため引っ張りだこで給料も前職より上がる大手からのオファーを多くもらうことができました。
 その中で選んだのが現職の商社でした。
 商社に入社すると即戦力扱い。現場に出て得意先を周り、自分で仕事を作っていく、最高に充実した仕事を与えてもらいました。

⑥同僚からの苦情


 Hさんは新しい発想や、お客様への第一印象も良くバリバリ契約を取っていきます。
 しかしある日、月末の報告ミーティングの時にHさんの報告資料が無くミーティングが進まなくなります。グループ長がHさんに報告資料について尋ねると「契約で忙しすぎて集計できていません。そんな資料なくても説明できるので口頭で進めさせて下さい」と回答しました。
 今回だけは、ということでそのまま進めることになります。
ミーティング後同僚から「資料は出さないとダメだよ。みんな忙しいんだから、君だけ特別扱いではないんだよ」と文句を言われてしまいます。

⑦ずさんな契約管理


 Hさん自身は自分が契約を取れていることに嫉妬して同僚がそう言っているんだと勘違いしていました。
 そんなある日、お客様であるK産業さんからの問い合わせが入ります。「今日入るはずの品物が届いていないのですが、どうなってますか?」
 Hさんは注文の契約までは覚えていましたが、納品までは勝手に着くだろうと確認をしていませんでした。
 調べる方法は出荷台帳、または帳票で現在の商品ステータス(今どの段階か)を調べるしかありません。
 Hさんは帳票を綴じることも整理することもしていませんでした。出荷台帳には出荷した日付はあったので工場からの出荷は終わっていそうでした。
 いったいどうなっているんだ?と考えてみるものの解決策は見つからず、グループ長に相談します。
グループ長は帳票で確認するよう指示を出しますが、帳票がどこにあるか分かりません。

⑧グループ長たる所以


 グループ長は見かねて自分の綴じている控えから当該商品を探し出し、すぐに運送に関するトラブルではないかと結論付けます。
 運送会社に連絡をとると税関で止まっていることが判明します。
 グループ長はすぐに同じ商品でK産業さんに回せるものがないかHさんに確認をします。
 ところがHさんはどこに何がいくつ運ばれていて、倉庫にいくつ残っているかも把握していませんでした。
 グループ長はすぐに自分の日報に集計している全体の当該商品の総出荷数から到着しているもの、分かっている在庫等を計算し回せる数量を出して、K産業さんに運ぶよう手配をかけます。
 到着は1日遅れたもののトラブルになることはなくK産業さんも迅速な対応に満足されていたそうです。

⑨反省


 Hさんはグループ長の対応をみて驚きました。グループ長に謝罪に行くと、グループ長は優しい表情で「日頃からの面倒な事務や数字の管理、報告を怠らないことが一流商社マンと普通商社マンの差なんだよ」と言って「これからはちゃんとしなよ」と諭してくれました。
 結果新入社員時代に意味がないと思っていた雑用は社会人としての基本だったんだと反省せざるを得なくなり、また一からやり直しだと思うに至りました。

⑩商社マンとしての成長


 その後帳票に限らず、報告や数字の集計、はたまた机の整理まできっちりとやるようになったHさんは何を聞いてもすぐに答えて対応できる営業パーソンとして信頼を勝ち取っていきます。
 その後海外勤務となり、海外でも会社のエースとして現在も活躍中です。

まとめ


 Hさんは当時を振り返り最初のメーカー時代の3年がめちゃめちゃもったいなかったと話します。
 「あの3年間きっちり基本をやっていればもっと早く別の形で大成していたと思います。」
「また、商社のグループ長があの人で無ければ私は今頃別の会社に転職していたかもしれません。」
 当時のグループ長に対する感謝の気持ちを感じる話ぶりでした。

 結局新入社員となってはじめから良い仕事をしたいと思うのは仕方ないのですが、社会人としての基礎体力作りはどこの会社、どの業種でも同じで重要なのだなーと感じさせられる内容でした。

新社会人の皆さん退屈な仕事も全力でやりましょう!
そうすればきっと素晴らしい社会人生活が訪れます!


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