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ウィッカーマン(1973)

※一部映画のネタバレを含みます

歌が怖い。

俗世から隔離されたスコットランドの離島を舞台に、敬虔なキリスト教徒で警官の主人公(ハウイー)が行方不明になった少女を探す、というお話です。

島民たちが信仰するのはキリスト教ではなく、むしろキリスト教とは正反対の宗教。

この島の宗教はとにかく性に奔放で、大人も子供もポルノチックな歌や踊りを真昼間から歌いまくり踊りまくり。
これにはハウイーもドン引きです。というかブチギレです。

「お前ら、子供になんつうもん歌わせてんだよ!」と、キリスト教の教義からかけ離れた島民に困惑と怒りを抑えきれないハウイー。

「ハウイーは少女を見つけれられたのか。異教徒の島からハウイーは無事帰還できるのか」については本編を見てもらうとして、なんといってもこの映画は歌が怖いんですよ。

子供が授業の一環として歌を歌ったり、島民が祭事で合唱したり、この映画は歌のシーンが結構あるんですけど、そのどれもが不気味なんです。
どの曲も明るくて、みんなめっちゃいい笑顔で朗らかに歌ってるのに。

未知の世界への嫌悪感っていうんでしょうか?

自分たちが子供のころから正しいとして教えられてきたものを、にっこにこしながら蹴散らされる感覚です。

島民がみんな無邪気というか、悪意がないんですよね。それがすごく怖い。

主人公のハウイーって、たぶん本土ではマジョリティ側だと思うんですよ。
キリスト教を信じて、警官としての正義感と義務感も持っていて、模範的で立派な市民なんでしょう。

しかしそんなハウイーのような人間でも、異なる世界に一歩足を踏み入れれば、マジョリティがマイノリティになる。
そんな受け取り方もできる映画でしたね。

宗教的な演出も多いかと思うので、そこらへんに詳しい人は考察とかしながら見ても楽しいかも?

宗教に詳しくなくても歌は怖いですけどね!

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